平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−63

専門分類

7

研究課題名

アイマークレコーダによるテレビ視聴行動のパタン抽出

フリガナ

代表者氏名

オオノ ユウコ

大野 優子

ローマ字

所属機関

(財)東京都神経科学総合研究所

所属部局

社会医学研究部

職  名

主任研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

同じテレビ番組でも年齢により視聴態度が異ったり,また同じように見ていても理解の仕方が大きくずれることは多い。もし,各年齢,成長発達段階に応じた見方のパタンが特徴抽出できれば,より的確に情報伝達が可能である。本研究では,実写やアニメーション番組の画面のどの部分をどういう見方をしているかを幼児,小学生,成人について調べ(注視点の動きの特徴),その違いを明らかにしていきたい。


今日,テレビ番組は乳幼児期から視聴されている。同じ番組を見ていても年齢によりかなり受けとめられた方が異っているといわれているが,各年齢・成長発達段階により,どのように見方が変化していくかを,本研究では画面上の視点の動きから検討・考察した。
被験者は2歳さか小学校6年生まで各年齢の男女および成人男女計83名で装置はナック社製アイマークレコーダーV型を用いた。刺激提示は19型カラーモニターを用い,画面および視点(アイマーク)はVTRに収録した。
刺激ビデオは,合計365秒で,3部からなる。
1.実写 110秒 赤ちゃんの成長とお母さんとのやりとり
2.アニメ 145秒 「どらえもん」より「宅配キャップ」本編の一部
3.アニメ 110秒 「ミッキーマウスのお化け退治」の一部
大人は,あごのせ台,幼児は長椅子を使用,アイマークレコーダは,幼児にも使用可能なように改良した。
解析は,ビデオテープに記録されたアイマークの位置コード信号をデータ出力ユニット(ナック社製V99B)を介してパソコン(PC−9801VM2)へ入力し,EMR−Vデータ解析リフトを利用して定量的解析をおこなった。比較の指標としては,(A)平均停留時間(本研究では眼球回転角1度以内に110msec以上とどまった場合を停留とみなし,単一停留時間の平均を求めた)(B)停留頻度(停留の回数)の2つを用いた。
その結果を,2〜3歳児は,データ数も少く,測定上の誤差が大きかったので,4〜6歳,小1〜3,小4〜6,成人の4グループで比較した。
年齢があがるにつれ,平均停留時間が短くなり,停留頻度は減少するが,男女別にみると,女子はこの傾向が顕著であるが,男子では,あまり年齢差がみられなかった。女子では,小4〜6でかなり成人女子の見方に近くなる。一方,男子では,成人男子でも小4〜6女子以下の停留時間頻度であった。本実験においては,男女差が大きく見いだされた。刺激差では「実写が,年齢が高くなる程,停留時間が短くなる」,「どらえもんが,他の2つよりも停留頻度が少い」などの傾向がみられた。今後は,刺激の順番効果を検討した上で,研究を進めていきたい。特に男女差が一般的なものかどうかを検討したい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本教育心理学会
日本人間工学学会
日本ME学会に投稿予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究では,被験者に実写およびアニメーションのテレビ画面を見せアイマークレコーダによる注視点検出を行いその結果から年齢による注視点のパタンの違いを探る,アイマークレコーダでは視界と両眼それぞれの注視点をVTR記録できる。被験者は3歳から小学6年生まで各年齢男女各5名,成人男女各5名程度とする。提示番組は実写(母子)アニメーション(どらえもん,ミッキーマウス)各2〜3分ずつ10分弱のものを作成する。こどもの城の画像処理用コンピュータ(1インチVTR用)を用いM方式で記録したアイマーク記録を1インチVTRにあげ,数フレーム単位で注視点の停留時間,累積停留点などを求める。これらの結果から被験者注視点の移動のパタン抽出を試みたい。このデータは,平面上の座標と時間とを持ち,さらに,画面全体の情報も重要である。この様なデータの処理に関し新たな統計手法が必要であり,統計数理研究所との共同研究を強く希望するものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

駒澤 勉

統計数理研究所

難波 和明

こどもの城・AV事業部

羽崎 泰男

こどもの城・体育事業部

馬場 康維

統計数理研究所

水上 啓子

国立小児病院