平成292017)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

29−共研−4302

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

6

研究課題名

医療・看護・保健分野におけるデータサイエンティスト育成のためのシステム構築の検討

重点テーマ

データサイエンス人材育成メソッドの新展開

フリガナ

代表者氏名

タンノ キヨミ

丹野 清美

ローマ字

Tanno Kiyomi

所属機関

立教大学

所属部局

社会情報教育研究センター

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

424千円

研究参加者数

12 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、ヘルスデータサイエンティスト(HDS)として医療・介護・保健分野に関する課題の解決に取り組んでいこうとする者に、技能の習得と研修の場を提供し、各種の適切な研修を実施するための人材育成のシステムを構築のための検証を行うことを目的とした。
今年度における研究会では、各分野(大学付属病院医師、開業医、地域ヘルスケア研究者、倫理学者、医療統計家)の専門家の立場から考える、HDSに必要なもの(課題)を収集・整理する。またHDS教育を行う上で、HDSを専門職として確立するために必要な職掌からの検討を行った。
各分野(大学付属病院医師、開業医、地域ヘルスケア研究者、統計家、倫理学者)の専門家の立場から考える、HDSに必要と考えるもの(課題)を収集した結果は、HDSに必要な能力とHDSの役割・立ち位置に大別された。
HDSに必要な能力は、具体的なスキル、またスキルを活かすための連携といった方法が収集された。一方、HDSの役割・立ち位置は、ヘルスケアにおける各機関での具体的な役割と、さらにHDSという職業を倫理的観点から俯瞰した、専門職としての位置付けの重要性が収集された。
今回得られた結果は、各分野の専門家による自由な見解の収集でのスタートであったが、医療現場・地域のヘルスケア・教育という各フィールドからのニーズが得られたと考える。今回得られた結果を、1. HDSの職掌、2. ドメインとしてのカテゴリ整理、の2つの観点から整理・考察する。
1. HDSの職掌
HDSの教育システムを構築するうえで、カリキュラムといった具体的な教育内容が必要であるが、その上流にあるHDSの職掌及び職掌に必要なタスクを確立することが、重要であると考える。HDSを専門職として位置付けるには、HDSがどのようなタイプの専門職であり、またどのようなデータをどこまで扱う人なのかということであり、倫理学的整理が必要である。得てして、ヘルスケアの倫理=医療倫理と考えがちだが、倫理学からみるHDSは、以下の図のように、生命倫理・情報倫理・ビジネス倫理の交差点にあたると考えられる。このことから、「公益性」及び「商業性」の兼ね合いも考慮する必要があると考える。
またHDSの位置付けを確定することは、HDSが専門職であること、なぜ専門職には倫理綱領や行動指針が必要か、という教育内容にも繋がると考える。これは、HDSがクライアントの利益を最大化するだけではなく、専門職としてやるべきこととやってはいけないことをわきまえて仕事ができるという、専門職の「自律性」にも関わる。
以上の見解を踏まえて、HDSの職掌について具体化させることは、教育のみならず教育修了後の専門職のキャリアパスや役職の担保に繋がると考える。
2. ドメインとしてのカテゴリ整理
1におけるHDSの職掌が確立することで、HDSとしてのタスクの確立も可能になり、さらにタスク遂行のための部分領域であるドメイン、そしてドメイン別に整理されたカリキュラム(教育内容)が作成可能になる。今回の結果から、HDSに必要な能力のカテゴリは、「臨床試験」「医療政策」「ヘルスケアのアウトカム」「コミュニケーション」「データサイエンス」「倫理学」「リーダーシップ」が得られたが、まだドメインとドメイン別に整理されたカリキュラム(教育内容)にはなっていない。来年度は、今回の結果を参考にドメインを確定させ、その下位領域となる具体的なカリキュラムを挙げ、整理していくことを考えていきたい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

「統計教育の方法論」ワークショップ
テーマ:ヘルスケア分野のデータサイエンティスト(HDS)育成のためのシステム構築 HDSの職掌からの検討
日時:平成30年3月2日(金)
場所:統計数理研究所統計教育の方法論発表
estat.sci.kagoshima-u.ac.jp/SESJSS/edu2017.htm

第1回ヘルスデータアナリティクス・マネジメント研究会
     主催:一般社団法人ヘルスデータサイエンティスト主催
テーマ:患者の主観的評価(日本語版Decision Regret Scale)の統計解析手法と今後のヘルスデータサイエンティストについて
日時:平成30年4月14日(土)
場所:立教大学
http://japan-hds.org/



研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

テーマ:医療・看護・保健分野におけるデータサイエンティスト育成のためのシステム構築の検討
日時:平成30年1月6日(土)13:00 - 15:00
場所:統計数理研究所
参加者数:7名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

池田 漠

慶應義塾大学医学部

岡 檀

和歌山県立医科大学

河村 英将

群馬大学

高橋 邦彦

名古屋大学

田中 朋弘

熊本大学

中尾 裕之

宮崎県立看護大学

朴 相俊

公益財団法人 身体教育医学研究所

藤井 良宜

宮崎大学

山内 慶太

慶應義塾大学

渡辺 美智子

慶應義塾大学