平成132001)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

13−共研−2050

専門分類

8

研究課題名

木材貿易モデルによる世界の森林資源利用に関する経済分析

フリガナ

代表者氏名

ユクタケ キヨシ

行武 潔

ローマ字

Yukutake Kiyoshi

所属機関

宮崎大学

所属部局

農学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、計量経済、数理計画法の適応により木材貿易モデルを構築し、国際社
会における地域的な森林政策、さらに貿易を通した森林環境政策のあり方について計量的
な分析を行うことにある。そのため世界をアジア先進地域(日本)、アジア開発途上地域、
アメリカ北部(北米)・中部(中米)・南部(南米)、ヨーロッパ東部(東欧)・西部(西欧)、
オセアニア、ロシア、アフリカ、の10地域に区分して、FAOデータに基づきこれらの木
材輸出入関数の推定を試みた。対象品目は産業用丸太、製材、木質パネル、チップ&パーテ
ィクルで、分析期間は基本的に1970〜1999年の30年間である。分析には両対数モデルを
用いた。
推定に当たってはデータの非定常性の検定等も行いつつ、最小二乗法(OLS)、二段階最小
二乗法(2SLS)、三段階最小二乗法(3SLS)により推定した。また、経済現象の動的調整過
程を見ることが出来るアーモンラグモデルを用いた推定も試みた。これらの推定結果、OLS
で推定して理論的な価格の符号条件が合っていなければ、他の推定方法を試してみても良
い結果が得られなかった。特に供給関数の推定結果が全般によい結果を得ていない。また、
分析で用いるデータが非定常性であるか否かについての検定を行った結果、P-値20%水準
で単位根なし、30%水準で共和分なし(r=0)、60%水準以上で共和分あり(r≦1、r≦2)
を目途にすると、推定結果の80%位に有効性が認められた。
 これらの結果を踏まえた推定結果として、輸出入量の著しい増大期または減少期には、
価格弾性値が弾力的な値を示す傾向が伺えた。従って、他の条件を一定にすれば、輸出入
量が増加傾向にあり、かつ価格弾性値が大きい地域の輸出入品目は、今後も輸出入量が増
加すると考えられる。例えば、オセアニアの産業用丸太、製材、西欧、東欧のチップ&パー
ティクル輸出、北米、東欧の産業用丸太輸入は、今後も増加すると考えられる。また、ア
ーモンラグモデルの推定結果では、特に次のことが指摘される。製材輸出の需要関数の価
格の推定値の長期符号条件合っていないのは、西欧であるが当期と前期は合っており、当
期の影響強いことが理解される。供給関数推定果で、新たに価格の符号条件を満たしたの
は西欧の製材輸出と木質パネル輸出、長期的符号条件合っていないのは北米の木質パネ
ル・チップ&パーティクル輸出であるが、木質パネルの1〜3期前はプラスで2期前の影
響が大きい。なお、木材貿易の輸出入モデルとその推定結果を、以下に示す。
〈基本モデル〉
(1)輸出品目
・供給関数
[1]■
・需要関数
[2]■
・需給均衡式
[3]■
 但し、■e,i・Pe,i・Wagi・Exriはそれぞれi番目の地域の林産物輸出量・実質輸出価格指
数・平均実質労働賃金指数・米ドル当たり平均為替レートを示す。Gdp'iはi番目の地域が
輸出を行っている相手地域の平均実質GDP指数を示す。添え字のSは供給関数であること
を、Dは需要関数であることを示し、-1は1期前の貿易量を表す。
(2)輸入品目
・供給関数
[4]■
・需要関数
[5]■
・需給均衡式
[6]■
 但し、■m,i・Pm,i・Gdpiはそれぞれi番目の地域の林産物輸入量・実質輸入価格指数・平
均実質GDP指数を示す。Wag'iはi番目の地域が輸入を行っている相手地域の平均実質労働
賃金指数を示す。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

第二回「森林資源管理と数理モデル」研究集会(http://www.ism.ac.jp/~yoshimoa/FORMATH/)
行武 潔・吉本 敦編著:森林資源利活用と中南米・欧州・環太平洋諸国における環境政策・木材
貿易の計量的分析、平成11年度〜平成13年度科学研究費補助金(基盤研究(A)(2))研究
報告書

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

庄司 功

筑波大学

吉本 敦

統計数理研究所