平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2010

専門分類

1

研究課題名

球およびロッドのランダム充填の研究

フリガナ

代表者氏名

イソカワ ユキナオ

磯川 幸直

ローマ字

ISOKAWA YUKINAO

所属機関

鹿児島大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

90千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

(1)球面のランダムな分割との関連で,正多面体でない凸多面体サイコロを投げたときに各面が着地する確率を求める問題の研究を行った.この問題の特殊な場合は,幾何学的に対称な凸多面体は,なぜ公平なサイコロとして振舞うことが可能なのか,という疑問になる.この古典的な問題に対して,これまでの研究は純粋に幾何学的であり,したがって3次元空間におけるサイコロの運動の解析,そして決定論的なサイコロの運動のどの局面において偶然の因子が導入されるのか,という考察が欠如している.本研究では,
(a) はじめに,2次元問題(たとえば,机の上で正6角柱鉛筆を転がす場合)を研究した.その結果,2次元の場合の運動は3次元に比べて解析的にはるかに単純であるにもかかわらず,初期条件に関する鋭敏な依存性があり,それ故に確率的な要因が潜入することがわかった.
(b) 3次元サイコロの運動は,2次元の場合に比べてはるかに複雑で,特殊な状況(投げ方も含めて)の場合しか着手していない.もっとも単純な場合は,幾何学的に対称な多面体を投げ,それが床面と完全弾性衝突する場合である.この場合,サイコロに固定された座標系は,床面との衝突のたびに,あるランダムな直交変換を作用することに同等となる.その結果,もし確率的な要因を2次元問題の場合と同様に導入するならば,サイコロの運動の解析は,直交変換のマルコフ連鎖の解析に帰着する.現在,まだ厳密な証明を得てはいないが,マルコフ連鎖の極限分布は,古典的な直交群上の一様分布(ハ−ル測度)になると予想される.そして,もしこの予想が正しければ,サイコロが isohedron であるとき(すなわち,すべて面がたがいに合同であるとき),とくにアルキメデス多面体の双対は,公平なサイコロとなりえることが保証できたことになる.
(c) isohedron でない場合,サイコロの各面が着地する確率が,凸多面体をその重心を中心とする球面に射影したときにできる球面多角形の面積に比例すると予想されるが,このことに対する考察は,まだ行っていない.
(2)不可能図形としてよく知られているペンローズの3角形の類比で,ネットワーク形状の構築物で,3次元空間内の立体としては実現が不可能なものの構成法を研究した.ネットワークの形は,2次元図形としてはアルキメデスのタイル貼りに一致しているが、辺がすべてロッドで置き換えられている不可能図形になっている.この奇妙な図形を考案した目的は,向き付け不可能な図形等を『可視化』するためである.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)の研究結果は,
“Stochastic Models and Discrete Geometry”, Tokyo, February 26-28, 2007
において発表した.

(2)の研究結果は,
“Imaginative Mathematics Fest”, Moscow (Russia), September 22-25, 2006
において発表した.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所