平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2031

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

個票データの開示におけるリスクの評価と官庁統計データの公開への応用

フリガナ

代表者氏名

サイ シドウ

佐井 至道

ローマ字

Shido SAI

所属機関

岡山商科大学

所属部局

経済学部 経済学科

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は以下の通りであった。
?標本寸法指標から母集団寸法指標を推定する際に用いられる確率分割モデルの性質を体系的にまとめ,さらに利用価値の高いモデルを構築する研究を行う
?個票データの秘匿方法と秘匿後の有用性の総合的な研究を行う
?多重寸法指標の推定について,精度の向上を目指し,応用範囲を拡張する研究も進める
?個票データから適切な統計量の組と集計表を作成し,それらに基づいて,公開しても安全な疑似個票データを作成する
?これまで蓄積された理論を,空間統計やPPDMなどの他分野へ応用する
 このうち?については,渋谷,大和,星野らによって今年度も着実に研究が進められた。また?に関しては,研究会において個票データの有用性の指標とリスクの指標を用いた分析についての議論がなされ,今後の検討についての基礎が築かれた。?については,佐井によって層化標本のリスク評価に対して多重寸法指標が導入され,有用性と必要性について議論が行われた。?に関しては,小林,星野らによって理論面,応用面での研究が進められており,来年度には成果が得られる予定である。?については,研究集会等においてPPDMなどに関する情報収集がなされた。
 これらの研究成果については,2010年9月5日〜8日に早稲田大学で行われた統計関連学会連合大会などの学会やシンポジウムにおいて報告を行うとともに,研究集会などでも報告,討論を行った。2010年10月29日,30日には,統計数理研究所において,科学研究費補助金グループ(基盤研究 (B)(研究代表者:佐井至道))との合同研究集会を開催し,本研究グループ以外の研究者や官庁統計の実務者との意見交換も行った。
 このような研究活動の結果,官庁統計の公開に関する基礎理論が更に蓄積されたと考える。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 今年度,この研究に関連して新たに発表された論文(発表決定を含む)は次の通りである。
1. Hara, H., Aoki, S. and Takemura, A., Minimal and minimal invariant Markov bases of decomposable models for contingency tables, Bernoulli, Vol.16, No.1, 208-233.
2. Hara, H. and Takemura, A., A localization approach to improve iterative proportional scaling in Gaussian graphical models, Communications in Statistics Theory and Methods, Vol.39, No.8, 1643-1654.
3. 星野伸明,公的統計ミクロデータ提供制度の課題,日本統計学会誌,Vol.40, No.1, 23-45.
他14件
 また今年度,学会などにおける報告は次の通りである。
1. 佐井至道,サンプリング法を考慮に入れた個票データのリスク評価,2010年度統計関連学会連合大会.
2. 原尚幸,竹村彰通,マルコフ連鎖の homogeneity の正確検定について,2010年度統計関連学会連合大会.
3. 星野伸明,模造個票データの必要性について,2010年度統計関連学会連合大会.
4. 渋谷政昭,Galton-Watson 確率木と Riordan 配列: Lagrange 分布族再論,2010年度統計関連学会連合大会.
5. 大和元,混合ディリクレ過程からの標本による確率分割の分布,2010年度統計関連学会連合大会.
6. 小林良行,集計データを用いた疑似個別データ作成について,2010年度統計関連学会連合大会.
7. 伊藤伸介,高野正博,秋山裕美,後藤武彦,ミクロデータにおける有用性と秘匿性の定量的な評価の試み,2010年度統計関連学会連合大会.
8. 山口幸三,秋山裕美,後藤武彦,伊藤伸介,教育用ミクロデータの作成方法について,2010年度統計関連学会連合大会.
他47件

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究集会「官庁統計データの公開における諸問題の研究と他分野への応用」
日時: 2010年10月29日(金)10:00〜17:00,30日(土)10:00〜16:10
場所: 統計数理研究所・セミナー室5,参加者: 47名,報告者: 16名
研究会「調査データベース公有化における個人データ保護の統計理論」
日時: 2010年7月3日(土)10:00〜17:30
場所: 統計数理研究所・サテライトオフィス,参加者: 13名,報告者等: 7名
研究会「調査データベース公有化における個人データ保護の統計理論」
日時: 2010年9月6日(月)18:30〜21:30
場所: 早稲田大学・大隅記念タワー「西北の風」,参加者: 11名,報告者等: 2名
研究会「調査データベース公有化における個人データ保護の統計理論」
日時: 2011年2月8日(火)10:00〜16:50
場所: 八重洲ダイビル第一会議室,参加者: 15名,報告者:5名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

稲葉 由之

慶應義塾大学

大森 裕浩

東京大学

小林 良行

一橋大学

渋谷 政昭

慶應義塾大学

瀧 敦弘

広島大学

竹村 彰通

東京大学

田村 義保

統計数理研究所

星野 伸明

金沢大学

大和 元

鹿児島大学

和合 肇

京都産業大学