平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2025

専門分類

4

研究課題名

女性の自立意識についての定性情報の分析

フリガナ

代表者氏名

タカクラ セツコ

高倉 節子

ローマ字

TAKAKURA Setsuko

所属機関

長崎純心大学

所属部局

職  名

元教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本年度の研究では、特に、多変量解析により回答パタンを構造的に分析すること、そして、2
回の調査(1994,2000年度の2回実施)における結果の類似点、相違点を明らかにすることが
目的であった。即ち、先ず、女性の自立、男性の自立に関して、17の項目(経済的自立、精神
的自立、生活上の自立などに関する項目)の各の重要度を問うた設問(Q15)について、数量
化3類を適用した。その結果、どの項目が、女性の自立(或いは、男性の自立)に関して、非常
に重要であるか、余り重要でないか、の度合いとの関連をみたが、これは2回の調査に関して、
極めて類似であることが明らかとなり、2回の調査実施の6年間の時の差異は、この分析を行う
限り、見られないことが明白であり、意識の構造的様相も、余り変わらないことが理解され、興
味深い結果が得られた。次いで、自由回答の設問に対して、WordMiner の解析ソフトを用いて、
分析を行った。WordMinerは、自由回答を分かち書きにし、これから、キーワードを抽出する
などして、構成要素に分解し、構成要素の出現パタンに対応分析を適応し、これにクラスター化
を行うなどをして、キーワード(構成要素)の配置を明示し、これにより、自由回答の全体的様
相を探ろうというものである。この解析ソフトを用い、自分の自立の状態(「自立していると思
うか否か」)を、「どのような点からそのように思うか(Q12)」について、及び、「最後に、自
立について感じていること」について、の自由回答の分析を行った。この結果、記入した人数に
ついては、Q12は、第2回の方が、最後の記入は、第1回の方が多いことがわかり、又、記述
の文字数は、この2つの設問共に、第2回の方が明らかに少ないことが見られた。これは、自立
に関して、第2回の方が、全般に、意識が低くなっていると思われ、一般的に、男女平等、自立等
への関心がやや薄れて来つつあることが伺われた。意識の内容に関しては、2回の調査とも、類
似であると見られた。即ち、キーワードによる分析結果、用いられている語彙は、大学の種類別
(4年制大学と短期大学の別)、及び、卒業年次別(これは年齢別の表現でもある)によって、異
なっていることは、2回の調査に共通に見られ、これらの属性項目が、意識においても差異を示し
ていることが、明らかに見られた。
 更に、「男女の籍にこだわらない共同生活についての意見を問うた質問(Q22)」(第2回のみ
設置)の自由回答について、旧来のアフターコーディングによる方法と、WordMiner を使用し
てのキーワードの配置を考察する方法との比較検討を試みた。旧来の方法では、回答の様相を全
体的に把握することは、出来るが、構造的な関連様相は明白には把握し難く、一方、WordMiner
によると、構造的な様相はかなり明きらかに見られるものの、全体的様相の明白な把握は困難で
あることがわかり、これら2つの方法は、何れか一方では十分ではなく、補完的な方法と見られ
ることが理解できた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1)高倉節子,村田磨理子,大隅昇:「自由回答データの取得方法と分析についての検討?『女性の自
立意識』調査データを通して?」日本行動計量学会第28回大会・(特別セッション)発表論文抄録集
(2000.10)
2)村田磨理子,高倉節子,大隅昇:「自由回答の分析」第67回日本統計学会大会講演報告集
(1999.)
3)村田磨理子,高倉節子,大隅昇:「女性の自立意識調査?比較調査による検証?」第69回日本統
計学会大会講演報告集(2001.9.)
4)高倉節子,村田磨理子,大隅昇:「女性の自立意識調査における自由回答の分析?1994年調査と2001
年調査の比較を踏まえて?」日本行動計量学会第29回大会発表論文抄録集(2001.9.)
5)女性の意識研究グループ(代表:高倉節子)「『女性の自立意識』の研究」1994年度東京女性
財団・助成研究報告書(1995.3.)
6)女性の自立意識・共同研究(研究代表者:高倉節子)「女性の自立意識」統計数理研究所共同研究
リポート147(2002.3.)
7)高倉節子:「Consciousness of Women's Attitude to ward Independence - applying correspondence analysis and
textual data analysis-」8th Conference of the International Federation of Classification Societies にて発表(於
Krakow(Poland))(2002.7.)
8)高倉節子:「女性の自立意識?2回の調査を踏まえて?」国際女性学会2002年大会・発表要旨集
(2002.9.)
9)高倉節子,村田磨理子:「ある自由回答についての分析?アフターコーディングによる方法と
WordMiner による方法との比較検討?」日本分類学会第19回研究報告会・研究報告予稿集(2003.
3.)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上松 由紀子

関東学院短期大学

大隅 昇

統計数理研究所

樋口 耕一

大阪大学大学院

村田 磨理子

(財)統計情報研究開発センター

吉村 宰

岡山大学