平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−12

専門分類

1

研究課題名

確率解析による確率過程の統計学の研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ナカヒロ

吉田 朋広

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院数理科学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

確率過程の統計的推測の理論で有力な解析手法となる確率解析とくにMalliavin解析による、高次漸近理論の研究を行う。この研究はまだ始まったばかりで確率論的側面と統計学的側面の両方からの理論的接近をめざす。


拡散過程、点過程をふくむセミマルチンゲールは近年統計学においても重要性を増してきている。ノンパラメトリック統計における経験分布関数の確率過程としての扱いや、生存時間分析における比例ハザードモデル、マルチプリカティブインテンシティーモデルなどの点過程的扱い等はその典型例であり、その推定関数の不遍性、推定量の一致性、漸近正規性などは、確率積分などの確率解析のテクニックを使うことによって体型的理解が可能となる。
また、拡散過程、地震などのモデルの点過程などはそれ自身確率解析の言葉でモデル化されるものであり、その解析にはこの理論を駆使する必要がある。本研究では確率解析とくにおもに伊藤解析に現れる汎関数の解析手段として最近盛んに研究されているマリアヴァン解析による統計学の研究を行った。より具体的には、小さなノイズのある拡散過程の未知パラメータのベイズ推定量の分布の漸近展開、この確率過程に関連した統計量の平均量の漸近展開をを研究した。
この漸近的決定理論への応用としては、ベイズ推定量の2次漸近有効性が証明できたことである。さらに、小さな攪乱のあるシステムの未知パラメータの最尤推定量の分布の漸近展開の問題を研究した。これらの研究を通して、漸近理論に必要な新たな数学的研究の方向が明確になりつつあり意義深かった。継続的な研究の必要性を感じた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

N. Yoshida, Asymptotic expansion for statistics related to small diffusions, J.Japan Statist. Soc., 22, 2, 139-159, 1992.

N. Yoshida, Asymptotic expansions for perturbed systems on Wiener space, 日本統計学会第61回大会発表予定、平成5年7月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

確率過程に対する統計手法の開発は、その重要性にも関わらず、未知の部分が多い。特に、2次以上の漸近有効性の結果はほとんど知られていない。確率解析とくにMalliavin解析が高次漸近理論に応用できることが最近知られたが、確率論のこの分野の研究者と協力し、さらに理論的な研究を行う。また、この手法は計量経済学への応用もあることがわかったが、このような確率モデルを利用する関連分野への応用を研究する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

杉田 洋

九州大学