平成14（2002）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	14−共研−1018	専門分類	8
研究課題名	経済成長率に対する教育投資効果の統計解析
フリガナ 代表者氏名	カワサキ　ヨシノリ 川崎　能典	ローマ字	KAWASAKI, YOSHINORI
所属機関	統計数理研究所
所属部局	予測制御研究系
職　　名	助手
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研究目的と成果（経過）の概要

本研究課題の目的は、経済成長率に対する公共投資や教育投資効果の統計解析である。昨年度までの
分析では、線形回帰分析の枠組みの中で都道府県別データを扱う際に注意すべき問題についてはおおむ
ね考慮して分析を行った。その上で、教育投資に関する人的資本の蓄積の経済成長への効果について研
究を進めた。具体的には、人的資本の代理変数として先行研究で数多く用いられている変数について評
価をした。その際、代理変数使用による測定誤差の問題について考慮した評価を行っている。分析結果
は、わが国の地域分析においては、人的資本の代理変数として、各教育段階の修了人口比率が指標とし
て適切であり、中でも高等教育修了人口比率が経済成長率に対して高い説明力を持つことが明らかにな
った。よって、これらの変数を人的資本の代理変数として評価した。
　ミクロデータによる分析では、現在までの分析で、統計数理研究所の有価証券報告書のデータベース
を用いて、1965年から2001年の製造業・非製造業の東証一部上場企業データによるクロスセクション
分析を採用し、各年度について、関数型(トランスログ型)のnonparametric検定を行った。結果は、
1980年以降はトランスログ型生産関数が棄却される結果となり、既存の経済理論・実証研究で標準的
に使用されているトランスログ型生産関数を用いることを再考察する必要を示した。この結果を受けて
本年度後半では、高次項を考慮したトランスログ型生産関数の関数型についてもnonparametric検定を
行った。結果、製造業に関しては、5次項まで考慮すると、トランスログタイプの生産関数は棄却され
ず、非製造業は3次項まで考慮すれば棄却しなかった。
　よって、標準的に用いられてきたトランスログ型生産関数に対して、より高次の項を加えることで適
切なモデルを構築できるという結果を得たが、関数型の特定化の際には、nonparametric法に基づくモ
デル構築を引き続き行っていく。
　なお、本研究課題は3年間実施し、所期の成果を得たので、平成15年度中に共同研究リポートとし
て成果をまとめる予定である。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文
Konishi,Y and Y.Nishiyama(2002)｢Nonparametric Test for Translog Specification of Production Function in
Japanese Manufacturing Industry｣iEMSs:The International Environmental Modeling and Software Society
Proceedings vol.2,pp.597-602(査読有)2002年6月。
小西葉子(2003)「生産関数の推定における人的資本の代理変数」『経済科学』50-4号、pp.83-95
小西葉子(2003)「人的資本と経済成長:中等教育か高等教育か?特定化問題を考慮したわが国の地域分
析?」『国民経済』166号掲載予定
小西葉子(2003)「わが国における地域別社会資本投資の生産性と効率性」(査読中)
学会発表
小西葉子(2001)「人的資本を含む生産関数の頑健推定」日本統計学会第69回大会
小西葉子(2002)「人的資本を含む生産関数の推定」日本経済学会2002年度春季大会
Konishi,Y and Y.Nishiyama(2002)｢Nonparametric Test for Translog Specification of Production Function in
Japanese Manufacturing Industry｣iEMSs:The International Environmental Modeling and Software Society,
Lugano University(スイス)
Konishi,Y and Y.Nishiyama(2002)｢Nonparametric Test for Higher Order Translog Specification of Production
Function in Japanese Industries｣第70回日本統計学会
Konishi,Y and Y.Nishiyama(2002)｢Nonparametric Test for Translog Specification of Production Function in
Japanese Industries｣日本経済学会2002年度秋季大会
※共著の場合は下線が報告者
研究会・セミナー等
小西葉子(2001)「人的資本を含む生産関数の推定」地域科学セミナー　名古屋大学環境学研究科
Konishi,Y and Y.Nishiyama(2002)｢Nonparametric Test for Translog Specification of Production Function in
Japanese Manufacturing Insdustry｣共同研究集会「ノンパラメトリック統計モデルの推定と平滑化法」、統
計数理研究所
Konishi,Y and Y.Nishiyama(2002)Nonparametric Test for Translog Production Function in Japanese
Manufacturing Industry｣第9回関西計量経済学研究会、大阪大学、報告者小西葉子
小西葉子(2002)「人的資本の経済成長への効果に関する計量経済分析」都市経済学ワークショップ京都
大学経済研究所
※共著の場合は下線が報告者

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
小西　葉子	名古屋大学大学院
西山　慶彦	京都大学
根本　二郎	名古屋大学