平成232011)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

23−共研−1015

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

4

研究課題名

複雑系のシミュレーションと統計理論

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

Kasono Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的: 有限温度における液晶相や磁気相を、ある秩序状態から別の秩序状態へ
と緩和させる非平衡緩和シミュレーションを行う.これより,平衡状態におけ
る相転移点と臨界点上の物を,計算時間数に応じて,詳しく知る事ができる.
 1次相転移の相転移点Ttにおいては,転移点の上下で秩序変数の値が不連続と
なり,飛びを示す.2次元強磁性q状態(q>4)ポッツ模型のTtにおける秩序変数の
飛びはq依存性を示すが,正方格子,三角格子,蜂の巣格子で同一の値をとる.
以上が厳密解より分かっている.この1次転移特有の普遍性は他の二次元格子に
おいても成立するかもしれない.そこで,カゴメ格子とダイス格子(ともに表裏
格子の関係にある)について転移点上の磁化を求め,普遍性が存在するかどうか
検証する.
経過と成果: 1次相転移を起こす10状態ポッツ模型において,単独クラスタータ
イプのモンテカルロ法を行った.秩序相(濃度c)-無秩序相(濃度1-c)のMPI初期
条件及びcに関する最小二乗法の解析を用いて,両格子の転移点Ttと磁化を得た.
両格子の転移点は,数値的結果の範囲では表裏変換を満たした.これらに厳密
解は無いが,理論的に予測された転移温度がある.しかし数値的にはその値と
は一致しなかった.また,両格子の転移点上の磁化の値は異なり,厳密な値が
得られている正方格子,三角格子,蜂の巣格子のそれとも一致しない.よって
新たな普遍性のグループは見出されなかった.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

加園克己.一次相転移における飛び不連続量の普遍性の検証
日本物理学会春季大会.富山,9月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小野 いく郎

東京工業大学