昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−12

専門分類

1

研究課題名

順序制約下での離散型モデルの解析

フリガナ

代表者氏名

アンラク カズオ

安楽 和夫

ローマ字

所属機関

西南学院大学

所属部局

文学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

疫学や量・反応実験等から得られる離散データや順序カテゴリーデータでは,その確率モデルに一定の傾向性を仮定できる場合が多い。このような制約のある検定問題に対して,各変量に重みをつけた線形和統計量による検定が,簡便なためかよく用いられる。我々はこの方法について効率と頑健性の評価を行う。


離散型モデルの解析においては,母数の個数を制限したり,母数や分布に順序等の制約を置くなど,事前情報を積極的に用いることによって,より有効な推論が可能となる。
安楽は,正方分割表において,周辺分布の同等性を,一方が他方よりも確率的に大とする対立仮説に対して検定する問題を考えた。この問題に対して,Agresti(1983,Biometrics)はウィルコクソン法を提唱したが,彼の評価は偏ったものであった。この点を掘り下げて,より明確な比較評価を行った。
一方,ウィルコクソン法の簡便さと有効性とを生かすために,より一般的なクラスを考え,この中で最適なものを見つけた。更に,これとウィルコクソン法との比較評価を行った。なお,当初予定していた,尤度比検定との比較評価や数値計算,シミュレーション等について,いくつかやり残したものもあるが,これらがまとまり次第,論文として発表したい。
一方,白石は,対数線形モデルと関連して,多次元データに対し,順位スコアによる,ノンパラメトリックな分散分析の手法を開発し,その漸近的な性質を調べた。これらの成果は,学会であるいは論文として既に発表されたか,発表予定である。
我々の共同の研究はまだ緒についたばかりであり,今後,よりいっそうの進展を見ることと思う。また最近,Nair(1986,JASA)が累積法とウィルコクソン法の強い関連性を示したが,これは我々の研究とも関係しており,新たな展開が期待できる。このような観点からも,今後とも継続して,研究を進めたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Anraku,K.,Nishi,A.and Yanagawa,T.
Annals of the Institute of Statistical Mathematics,1988,Vol.40,pp149−163.
Shiraishi,T.
Journal of the Japan Statistical Society,1988,Vol.18.
Shiraishi,T.
Journal of Statistical Planning and Inference(to appear)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

線形和統計量による検定の特徴は主としてその簡便さにあるが,効率低下の危惧がある。制約を仮定した時の尤度法は,特にデータの次元が高い場合に統計量や棄却点の計算が繁雑で,実用に難があるが,高い検出力を持つと推察される。従ってこれとの効率比較は必須である。一方事前情報をどれだけ有効利用しているか見るためにも,制約を置かない場合の尤度法とも比較する。これらの比較を解析的な側面とシミュレーションとから行なう。また独自に,有効な手法の研究・開発を行なう。なおシミューレーションは主として代表者が担当し,当研究所で行なう。またこのようなデータ解析の研究は,特に関わりの深い当研究部門(自然科学領域)で,共同研究として実施されるべきものと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

白石 高章

筑波大学