昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−32

専門分類

6

研究課題名

地球回転データの時系列モデル

フリガナ

代表者氏名

イシグロ マキオ

石黒 真木夫

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球回転のモデルの決定は位置天文学においては基礎座標系の確立のために不可欠であり,また地球物理学においては内部構造を解明するために基本的に重要な問題である。本研究において地球回転データを統計数理的に考察し,その運動の要因を解明し,時系列モデルを確立する。


1899年より現在まで連続観測がなされてきた地球回転運動データの中には,6年以上の長周期である永年変化項と1年周期である年周期と約1.2年周期をもつチャンドラー運動がある。本研究ではチャンドラー運動に焦点をしぼって研究を実施した。
1.チャンドラー運動のモデル表現の行列化
現在まで研究されてきた極運動モデルの表現形式はそのほとんでど複素数表現であったために3次元表現が不可能であった。本研究においては行列式で表わすことにより(x,y)成分以外の成分(これを木村のZ項として採用するか又は,垂直な第3成分適用するかは今後の研究による)を追加することが可能になった。またx−成分,y−成分を独自に扱う事もできるようになった。このことにより極運動モデルがより明確に表現された。
2.極運動モデルのシミュレーション
極運動モデルのシミュレーションを行なうために,極運動の励起の原因となりうる極潮汐,流体核,非平衡潮等を含んだ極運動モデルを時系列モデルとして表現した。このモデルのシミュレーションの実行は今後の研究による。この計算機シミュレーションを行なう事により極運動の減衰係数をより精確に決定する事ができる。これらの表現はすべてカルマンフィルターの状態空間表現として書かれている。この表現をABICを用いてより正確に決定する方法の研究も進めている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

国際緯度観測事業(ILS)のデータは1899年から1978年までの79年間のデータがあり,一方国際極運動観測事業(IPMS)のデータは1962年から23年間ある。これらのデータを用いて統計数理解析を行う際の問題点は2つ存在する。1つは1年周期や半年周期を局地変化項と全地球的運動に分離する問題であり,もう一つは観測誤差とシステム誤差の評価である。これらの解明のために情報量基準AIC,ABICを利用する方法を研究開発して統計数理解析を行い,地球回転の時系列モデルを確立する。これらの研究のためにはAIC,ABICに関して先端的な研究を続けている統計数理研究所において討論や調査が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

赤池 弘次

統計数理研究所

大江 昌嗣

国立天文台

尾崎 統

統計数理研究所

金子 芳久

国立天文台

北川 源四郎

統計数理研究所

笹尾 哲夫

緯度観測所