平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−83

専門分類

8

研究課題名

源氏物語の計量国語学的分析

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサカツ

村上 征勝

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

源氏物語は平安中期に紫式部の手により成立したと考えられている。しかし古来その作者に就ては疑義が唱えられてきた。この成立,作者をめぐる学説の交錯は,従来の文献学的手法のみを以てしては最早解消できない迄に至っている。本研究は計量的な視点から「源氏物語」の特徴を把握し,このような疑義の解決に一石を投ぜんとするものである。


源氏物語は平安中期に紫式部の手によって成立したとされる。しかしその作者をめぐっては多くの疑義があり、本研究は3年の計画でこの疑義に関するアプローチを試み、また平安期の日本語の計量的な特色を把握すべく研究を開始した。
さて、3年計画の初年度にあたる本年は、主に、1)底本の選定、参考図書の整備、2)原文の入力、3)入力した部分の校正、4)分ち書きなどの作業を行った。
1)については資料の作成と共に、将来解析を行うにあたり適切なデータが得られるか否かなどの観点から批判を行った。2)3)については富士電機XP−50Sを用い、原文を読み込み、更に人力による校正を行い、データを整備した。4)については原則として手作業で行わざるを得ないと考えていたが、部分的にではあるが、分ち書きの自動処理プログラムが実用に堪えるレベルに至ったので、これを使用することにより大幅なスピードアップが可能となり、当初の予想以上に進捗した。
以上の作業と平行して、文法情報の作成、処理プログラムの作成が開始された。本研究では日蓮遺文の計量的研究に於て培れたノウハウを基に、文法情報を作成した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

? 上田裕一,村上征勝,上田英代,日本語処理におけるUNIXシステムの応用,計量国語学会,1991年9月21日
? 上田裕一,村上征勝,上田英代,UNIXシステムを使った古文の単語処理,第3回「国文学とコンピュータ」シンポジウム,1991年12月13日
? 上田裕一,上田英代,樺島忠夫,村上征勝,源氏物語の自動単語分割と計量分析,第4回 文献情報のデータベースとその利用に関する研究会,1992年3月3日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

源氏物語の各巻における和歌の出現数,比喩の使用率,文の長さなどの文に関する情報,品詞の使用率などの文法情報,単語の出現率などの言葉に関する情報を用いて,各巻の計量的な特徴を把握するため,3年の計画で研究を行う。初年度の今年は,「源氏物語」底本を選定,参考図書を整備し,原文の入力,校正,分かち書き,文法情報の作成を行う。
人力に際しては,現在使用中のOCR(富士電機XP−5OS)を使用して省力化とスピードアップをはかる。校正は手作業で行わざるを得ないが,分かち書き,文法情報の作成に就いては研究代表者に於て,ある程度の自動処理プログラムを作成し省力化を試みる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 英代

古典総合研究所

上田 裕一

もとぶ野毛病院

樺島 忠夫

 

岸野 洋久

東京大学