| 研究目的モンテカルロフィルター(Kitagawa (1996))による非線形・非ガウス・非定常状態空間モデル推定を用いて金融・経済時系列の分析を行う。特に動学的確率的一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium Model)、時変係数構造ベクトル自己回帰モデル、確率的ボラティリティ変動モデルなどのパラメーター推定を行う。
 
 成果の概要
 「流動性の罠の下での動学的確率的一般均衡モデルと自己組織化状態空間モデリング」を執筆し、内閣府経済社会総合研究所のESRI Discussion Paper Series No.206として公開した。本論文では流動性の罠の下での動学的確率的一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium Model, 以下DSGE)のパラメーター推定手法を提案した。本論文の手法はKitagawa (1996)ならびにGordon et al. (1993)で提案されたモンテカルロ粒子フィルターとKitagawa (1998)で提案された自己組織化状態空間モデルに基づくものであり、Yano (2009)で提案された手法の拡張である。実証分析として1981年第1四半期から2007年第4四半期までのマクロ経済データ(ゼロ金利政策時代、量的緩和政策時代を含む)を用いて流動性の罠の下での新ケインズ派DSGEモデルを推定した。実証の結果、日本の潜在成長率は1990年代に低下した後、2000年代半ばに2%程度まで回復したこと、さらにインフレ率の目標値が低いため、日本経済にデフレを引き起こしていることが分かった。
 
 
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