平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−29

専門分類

3

研究課題名

波浪中の船体運動、応力、主機関の統計的予測に関する研究

フリガナ

代表者氏名

オオツ コウヘイ

大津 皓平

ローマ字

所属機関

東京商船大学

所属部局

商船学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

大洋航行中の船舶には、波浪をはじめとする強力な外乱によって激しい船体運動が誘起される。本研究では、実船あるいは模型船を用いてこの複雑な現象を時系列理論をはじめとする統計理論によって明らかにし、運航者にリアルタイムで安全運航のために役立つ情報を提供するシステムを開発する。


外洋を航行中の船体は波の影響を強く受けながら動揺している。特に波の方向(出会い角)は船体の運動特性に大きな影響を及ぼすが、大洋中には固定した観測点がないのでその直接的な観測は困難である。本研究では、航行中の船舶の変動の観測値から波の方向スペクトルの推定値を求める方法の開発を行った。
船体の周波数応答関数をあらかじめ操縦性試験等により推定しておき、波との出会い角による応答の変化が滑らかであるとの仮定をベイズモデルの形で表現することにより、従来の最尤法による推定の場合よりもよい推定が行えることがわかった。
ただしこの推定法は、周波数応答関数が0に近くなる部分で推定誤差が大きくなることが分かったので、この点を改良する必要がある。この問題に関してもベイズモデルにより解決できる見通しが得られた。
研究においては、東京商船大学の練習船汐路丸の航海中のデータを用いた。また、上記の研究のほか船体の動揺と主機関の回転数の変動の関係に関する研究も引き続き行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

大津皓平、制御型自己回帰最適自動操舵システムの設計(時系列解析の実際? 4章)、朝倉書店、1994年6月
井関俊夫、船体動揺データを用いた方向波スペクトルの推定(時系列解析の実際? 7章)、朝倉書店、1994年6月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本学所属の練習船汐路丸の模型船を使って水槽内に起こされた規則波浪中での船の正確な運動および船体各部応力をまず明らかにし波浪中の特性を把握する。
その後、実際に航行中の同船の船体運動データ(機関データも含む)あるいは応力の時系列を採取し、そのデータを、水槽実験で求めた動特性を基本とした統計解析によって、各運動モードと船体応力あるいは主機関の運動との相関を明らかにし、波浪中における船体運動、船体応力や主機関の正確な予測技術を確立する。
また逆に測定された船体運動から波浪等の外乱の性質を推定し最終的に船舶の安全運航の情報をリアルタイムに運航者に提供できるシステムを開発する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

井関 俊夫

東京商船大学

北川 源四郎

統計数理研究所

堀篭 教夫

東京商船大学