昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−54

専門分類

6

研究課題名

全球気象資料を用いた大気の長周期現象の統計的解析とその予測

フリガナ

代表者氏名

ノト マサユキ

能登 正之

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

予報部

職  名

予報官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

14 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年の世界的な異常天候の頻発は経済活動等に大きな影響を与えており,我国でも数か月先の天候を予測する長期予報の精度向上が緊急に求められている。世界的に見ても現時点では精度の良い予報法は確立されておらず,実用的には統計予報モデルの作成が要請されている。このために統計予報モデルを作成する事を目的とする。


(1)重回帰予報モデルの作成と検証
これまで,大気(500mb等圧面高度)・海水温・大気と海水温等の各種予測(説明)変数のグループごとに,AICによる各モデルの比較を行ってきたが,今年度は最近の予測成績を1.個々の実例について予測誤差の検討,2.スキルスコアを用いた検証及び3.主成分モデルの開発と検証を行った。
1及び2については,顕著な高温や低温など,いわゆる異常気象の予測成績が良くないことと,海水温を含めた予測モデルは大気だけを予測変数とした場合に比べて,必ずしも成績が良くないという結果が得られた。
3は,個々の地域の気温を予測する代りに,日本の気温分布の主成分分析を行い,個々の地域の気温を予報する場合と同様の予測変数を用いて,その主成分スコアを予測し,予測されたスコアから逆変換によって個々の地域の気温を予測するモデルである。
このモデルによる予測成績を検証した結果は,これまでの予測モデルよりも良い結果が得られた。
(2)スペクトル解析
近年エル・ニーニョ現象など海水温の重要性が次第に明らかになってきたので,従来の大気変動のスペクトル解析に加え,海水温の変動特性をスペクトル解析により調査した。調査対象は,太平洋赤道域及び北緯40度に沿った海域について,西部,中部,東部などに分けた。その結果,海域によって特徴に多少の違いはあるが,大気・海洋相互作用に伴うエル・ニーニョ現象に関連する4〜6年のスペクトル,また,2〜3年のスペクトルの存在が検出された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)統計予報モデル関係
1.1 重回帰モデル(印刷物:気象庁予報部「昭和63年度全国長期予報技術検討資料」,p.75〜77)
1.2 主成分モデルの開発(同上,p.85〜96)
1.3 T.Aoki,et.al.,Prediction of Monthly mean temperature in Japan,4th International Meeting on Statistical Climatology,
(Preprints,p.156〜161)
(2)スペクトル解析関係
2.1 全球海面水温変動と大気循環,
気象庁予報部「昭和63年度全国長期予報技術検討資料」,p.2〜8


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究実施計画(第3年度): 統計数理研究所で開発された統計解析プログラムを用いて今年度は以下の研究を行う。
(1)日本の天候を予測するには,大気の長周期現象を抽出し,その特徴を理解することが重要である。今年度は,これまで行ったスペクトル解析等のまとめを行う。
(2)また実用モデルとして重回帰予報モデルの開発を続けており,本年度はそのプロトモデルを完成させる。
共同研究の必要性: 上記の計画を実施することは,現在強く求められている予報精度の向上に寄与するところが大きい。計画実施のためには,統計数理研究所で蓄積された知見の活用が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

青木 孝

気象庁

赤池 弘次

統計数理研究所

荒畑 恵美子

統計数理研究所

石黒 真木夫

統計数理研究所

上野 達雄

気象庁

岡崎 卓

統計数理研究所

尾形 良彦

統計数理研究所

尾崎 統

統計数理研究所

北川 源四郎

統計数理研究所

坂元 慶行

統計数理研究所

田辺 國士

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所

土谷 隆

統計数理研究所