昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−71

専門分類

7

研究課題名

信州高原の野草中の微量元素濃度に関する多変量解析

フリガナ

代表者氏名

タンバラ ヒロシ

檀原 宏

ローマ字

所属機関

信州大学

所属部局

農学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

申請者はこれまでに,信州高原地帯に自生する野草の微量元素濃度を調査してきた。10数地点から採取した数100点の草から,30種類近くの元素を測定した。これらのデータから,各元素濃度の特性値を把握し,元素間のパターンを多変量解析法で明らかにして,そこに育つ動物の健康(栄養・毒性)を,微量元素の摂取の立場から評価する。


実施状況:
昭和62年度共同研究の採択ならびに予算執行に関する通知を,同年5月7日付で受領した。共同研究者の駒沢教授(統数研)と打合わせ,同年4月〜10月の間に試料の採集,調製および元素分析を行なった。野草の生育などの時季的な制約のためであった。11月よりデータ整理を開始した。整理の終った元素分析のデータは,遂一,統数研において,コンピュータ処理による統計解析を行なった。データ解析は,63年3月初旬に終了した。以後,そのとりまとめ,報告論文の作成を4月末まで続行している。さらに5月上旬,後述の学会で発表講演を行ない,その後に,論文掲載のため投稿を予定している。
成果:
信州(長野県)の標高1000m以上の高原地帯3ケ所より,60点余の野草類を採取し,それらの試料から,約25種類以上の微量元素を定量分析した。草は主として動物(野生,家畜)が摂食しているものを選び,分析は京大原子炉(KUR)を使用して,熱中性放射化分析法を用いた。これらのデータより,元素濃度を統計処理して,飼料栄養学的考察を加えた。成果は次の通りである。1.野草中の微量元素濃度の頻度分布は,各元素ともそのほとんどが,低濃度側に最頻値をもつ対数正規型を示した。2.各元素濃度は,栄養学的にみて,動物に不足症状あるいは,過剰障害を起すおそれは見出せない。3.元素濃度間の相関々係は,特異な値を示すものがあらわれた。
4.これら,元素相互の組合わせ,それぞれのパターンの追求は,今後の研究課題となる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究は,次の学会で講演(口頭発表)し,その後に下記の学会誌に投稿する予定である。
講演予定:日本栄洋食糧学会総会,昭和63年5月2日〜4日
於大阪
論文投稿予定:Radioanalytical and Nuclear
Chemistry,
Budapest,Hangary


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

この研究は,昭和59年度より開始され,現在なお継続中である。但し,統計学的手法の導入は今回からである。浅間,八ツ岳,南アルプスなどの標高1,000〜2,000mの高原に自生する野草で,動物(とくに牛,羊など)の飼料となる草種を対象とした。採集した草から,中性子放射化分析法で微量元素を定量した。現在,すでに200種類ほどの草から,それぞれ約25種以上の元素濃度が得られている。なおこの分析調査は今後続行し,データは累積追加するが,今回以降は下記の統計的解析を〓行したい。
データはすべて各元素濃度を,採集地,草種ごとに分類仕わけする。そして,それぞれの特性値(瀕度分布,バラツキ巾など)を求める。これからさらに,各元素間の相関係数を得て,主成分々析,因子分析法,その他の手法で,草中の元素濃度の間の奥に潜む特性(パターン)の解析を試みる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石井 俊哉

信州大学大学院

駒澤 勉

統計数理研究所

箕浦 知里

信州大学大学院