平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2041

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

ベイズ法による林分成長予測とその管理への応用

フリガナ

代表者氏名

ヨシモト アツシ

吉本 敦

ローマ字

Yoshimoto Atsushi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

148千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 地球温暖化や生物多様性の問題が注目される中、森林資源の管理のあり方が見直されている。日本の森林面積の約40%を占める人工林については、林分という経営ユニットに対する資源情報も不足しており、また管理のための最適化モデルの開発も十分なされていない。そのため通常の方法を用いた場合、林分の成長予測ができず、その結果、様々な制約を満たす管理の最適解も探求できず、新たな森林政策の経済分析も困難な状態である。本研究は、1時点の林分の資源情報に対して唯一存在する森林簿のデータを用いて、ベイズ法の利用により各林分の成長予測を行い、森林資源管理最適化を行うことを目的としている。
 滋賀県多賀町地域における森林簿のデータを用いて、下記の通りベイズ法の利用により成長予測及び最適管理計画の探求を行った。
1. 森林簿のデータより、各林分のha当たりの幹材積を求める。
2. 得られた幹材積を樹齢の関数として、森林簿全体に対してRichards-Chapmanの成長方程式を当てはめ、パラメータの値を推定する。
3. 推定されたパラメータをpriorとして、ベイズ法により各林分に対して、ベイズ推定値を求める。その際、推定されるパラメータを用いた成長方程式からの推定値と実測値(幹材積)の間に乖離がある場合は、再度推定値をpriorとして繰り返し法により誤差が許容範囲内になるまで推定を繰り返す。
4. 推定されたパラメータを用いて、各林分での成長予測を行い、最適な伐採計画を求める。
最適な伐採計画の探求には0-1整数計画法を用いるが、その方法は与えられた情報・条件下において最適ソルバ(CPLEXあるいはGurobi)への入力ファイルを生成し、ソルバにて解を求め、その解を解釈するという一連の作業による。ここでは、Webアプリを開発して入力ファイルの生成を試みた(http://ism.formath.jp/Strata/)。分析の結果、ベイズ法を用いれば、現状の森林簿のデータのみにより、最適な森林管理計画の立案が可能であることが分かった。ただ、森林簿のデータ自信の信頼性が昨今疑わしく思われているため、その現実のデータとの乖離について、さらに検討する必要がある。仮になんらかの手法により、少なくとも1時点のデータが各林分において取得されれば、ここで構築された方法の利用により、様々な施作の評価が可能であることが分かった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Webアプリを開発した(http://ism.formath.jp/Strata/)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

赤石 亮

無職

加茂 憲一

札幌医科大学

木島 真志

琉球大学

田中 勝也

滋賀大学

二宮 嘉行

マス・フォア・インダストリ研究所