平成292017)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

29−共研−4212

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

7

研究課題名

研究IRコミュニティの形成と人材に関する基礎研究

重点テーマ

学術文献データ分析の新たな統計科学的アプローチ

フリガナ

代表者氏名

ヤマダ レイコ

山田 礼子

ローマ字

Yamada Reiko

所属機関

同志社大学

所属部局

社会学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

155千円

研究参加者数

3 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では,1.研究IRコミュニティ形成のためのベースとして専門職に関する文献研究と同時に米国でIR専門職協会として機能しているAIRの執行部を対象に,IRコミュニティの制度化過程およびIR人材に不可欠な能力・スキル要件と技術の向上のための機会提供等についてのヒアリングを実施する.2.ウェブ調査により研究IRに携わっている職種であるURAを対象に,研究IRにかかわる人材に不可欠な技能・スキルの要件,そうした技能の育成機会,研究IRコミュニティ形成のための要件,専門職としての研究IR人材育成のための社会的要件等について調査を実施し,明らかにする.3.複数の研究推進にかかわる大学執行部の理事・副学長を対象にヒアリング調査を行い,研究IR推進のための前提条件を明らかにすることを目的とする.平成29年度は,AIRの執行部へのヒアリング調査を実施し,米国における研究IRの実態について把握をした.さらに,国内URA担当者2名へのヒアリングを行い,日本の大学における研究IRに係る人材とIR全般に係る人材が別組織に属しているという組織的な分散状況を把握した.この調査結果に基づき本年は,2と3を実施し,研究IRコミュニティ形成のための,人的要素,コミュニティ形成のための要件を明らかにする.
 重点テーマ「学術文献データ分析の新たな統計科学的アプローチ」との関連性については,論文数(質的指標),被引用数(量的指標)の測定技術の向上が研究IRの推進の前提条件となる.したがって,学術文献データベースを活用して統計科学としての新たな統計分析手法の開発は研究IRの基本であり,統計技術の向上が研究IRに携わる人材にとっての要件ともいえる.こうした要件について研究IRにかかわる人材が如何に認識しているか,どう評価しているかについて質問紙(Web)調査をすることで明確にし,研究IR人材が恒常的に活躍するためのIRコミュニティ形成のための基礎研究として位置づける.研究IRの人材育成,研究IRコミュニティの行動決定,人的資源配分決定に資するため,専門職組織の構築の視点からも大きな意味を持つ.
 標記の目的に照らし合わせて,日本における研究IRを本研究では、研究IRとは「論文数(質的指標),被引用数(量的指標)の測定等を行い、機関としての研究力向上に資する活動」と定義した上で,本研究は,URA(B調査)とURA部門あるいは研究部門に責任を持つ部門長あるいは理事(副学長)を対象にした調査(A調査)を実施する.A調査はまだ回収できていないため,B調査結果にもとづき問いをベースに検討する.B調査は,研究IRに携わっている職種であるURAを対象にしたウェブ調査を通じて,研究IRによる研究成果の可視化がURAを活用している大学のどの層の大学に影響を与えているのかを検討する内容である.調査の概要と現時点での分析結果は以下のようである.研究IRデータの活用は研究中心の大規模国立大学において進んでいると推察されるが,実際には研究IRの推進状況や改善の度合いはどのようになっているのか?URA整備事業は比較的大規模な大学(研究)に役立つ施策であったのかを検証することを目的として調査を設計して,平成29年12月に全国の国公私立のRAを対象にメールでの連絡によるウェブ調査による実査,有効回答数43(回答機関数32).国立大学22,公立大学1,私立大学8,その他1,回答機関を2017年10月に公表された科研費データから機関の採択件数で分類すると,250件未満10件,250件以上500件未満19件,500件以上1000件未満8件,1000件以上6件である.採択件数と1件当たりの科研費平均のクロスをモザイク図に示してみると,間接経費を含めて,1件あたりの科研費平均が200万以下の大学は,地方国立大学や私立大学が多いこと,採択件数1000件以上,科研費平均300万円以上の大学は研究大学強化促進事業採択機関が多いことが判明した.研究IRの貢献と大学機関との関係を改善案の提案については,1件あたりの採択金額大の大学で貢献が見られ,データ分析は,採択件数の少ない大学は積極的ではない傾向がある.データの提供は,採択件数の少ない大学は,積極的ではない傾向が確認された.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

第21回日本高等教育学会,2018年5月26日,桜美林大学にて発表予定
2018年度 『大学論集』へ投稿予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

山田礼子 科研研究会 2017年7月25日 「研究IRの指標開発とコミュニティ形成に向けて」、
同志社大学 寒梅館会議室、10名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木村 拓也

九州大学