平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2035

専門分類

7

研究課題名

レチノール結合タンパク質の分子進化についての研究

フリガナ

代表者氏名

ワダ ヤスヒコ

和田 康彦

ローマ字

Wada Yasuhiko

所属機関

佐賀大学

所属部局

農学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

レチノイド(ビタミンA)は成長促進作用、視覚作用、生殖作用、皮膚正常保持作用、制がん作用、聴覚作用、味覚作用、細胞分化作用など、非常に広範囲の生理作用を有する化合物の総称である。
 1980年代後半から、これらの生理作用の一部はレチノイドをリガンドとする核内受容体の標的遺伝子に対する転写制御作用に起因することが明らかにされてきた。
 しかしながら、細胞中にわずかしか発現していない核内受容体の転写制御作用だけでは、レチノイドの持つ広範囲で複雑な生理作用を完全には説明することはできない。
 近年、輸送タンパク質であるレチノール結合タンパク質についての研究が進んだ結果、細胞質内に存在するレチノール結合タンパク質そのものが、レチノールの生理作用に深く関わっていることが明らかになってきた。
 ヒトではレチノール結合タンパク質は7種類あるとされているが、他の動物種では遺伝子が同定されていないものも多く、分子進化学的な研究は進んでいない。

そこで、脊椎動物におけるレチノール結合タンパク質について網羅的に探索して、塩基配列およびアミノ酸配列をもとに分子進化学的な検討を行った。

 ニホンウズラの肝臓からpoly-A RNAを精製し、逆転写酵素を用いて2本鎖cDNAを作成してプラスミドベクターにライゲーションしてcDNAライブラリを作成した。このcDNAライブラリをPCR法でスクリーニングし、RBP4及びCRABP1のクローンを検索し、ダイレクトシーケンス法で塩基配列を決定した。

  RBP4については全長1002塩基、CRABP1については部分長290塩基のシーケンスを決定した。ニホンウズラRBP4のアミノ酸配列はヒトと17%、マウスと25%、ニワトリと1.0%、ゼブラフィシュとは39%の置換率であった。一方、CRABP1については、ヒとで7.6%、マウスと8.9%、ニワトリと1.3%、ゼブラフィシュとは19%のアミノ酸置換率であった。
 アミノ酸構造はRBP4のN末端側についてニホンウズラとニワトリで存在する6番目から3つのアミノ酸が哺乳類では失われていて、逆にC末端側について哺乳類に存在する197番目からのアミノ酸がニホンウズラとニワトリでは欠失していた。13番目から195番目までの間では相同性が高かった。一方、CRABP1においてはC末端は非常に動物間での相同性が高い結果となった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表

  第56回 西日本畜産学会 大会
   「ニホンウズラにおけるRBP4遺伝子とCRABP1遺伝子のクローニングと発現解析」
    城崎幸介、パッタナポン・タッター、和田康彦

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所