平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−102

専門分類

8

研究課題名

情報器機の使用と日本語能力に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ツチヤ タカヒロ

土屋 隆裕

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

かつては清書の道具にすぎなかったワープロやパソコンも、現在では文書作成の中心的存在となっている。それに伴い、漢字は読めるが書けない現象が広がり、文を書く内的プロセスにも変化が見られる。そこで情報器機の使用が日本語能力にどのような影響を及ぼしているのかについて検討する。


日常の文書作成においてワードプロセッサーやパソコンを用いる度合いと、漢字を読む、書く能力との関係について研究を行った。
まず先行研究を調べたが、漢字の使用頻度や児童・生徒の漢字習得状態を調べた研究は国立国語研究所等から発表されていたが、ワープロソフトへの依存と漢字能力との関係について調べた調査がないことがわかった。
そこで独自に実態調査を積み重ねることにし、本年はワープロソフトへの依存度(使用時間、使用比率)と漢字の読み、書きとの関係を、大学生に被験者に用いて調査した。
その結果、ほとんどの文書をワープロソフトで作成している人は、漢字の読みは変わらないが漢字の書きが劣ることがわかった。また、日頃漢字に接触する度合いが高いからといって漢字の読み書きが優れているわけではないこともわかった。
この調査の結果、新たな研究仮説が2つ浮かんだ。
すなわち、「漢字能力の低下はワープロ使用そのものが原因なのではなく、“手書き”を行わないことが原因である」「ワープロ依存により漢字が書けなくなる現象は、漢字が丸ごと想起できない現象であり、誤字や当て字、勝手な創作文字に置き換わることではない」後者の仮説については、誤答分析を含む再分析を行なうほか、再度より大きな調査を行って前者の仮説を含めて検討していきたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平成10年7月日本教育心理学会第40回総会にて口頭発表の予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

まず日本語能力のどの点について影響を調べるかについて広く検討したのち、大学文系学部の学生を対象に調査あるいは実験を行う。大学文系学部の学生は、1、2年次ではほとんど情報器機を使いこなせないが、卒業前には(学科・専攻によるが)文書作成はワープロ等が主体となる。この間の比較対照が分析の中心となる。より情報器機に依存している大学院生に対する調査も検討したい。調査結果の分析には質的なデータ解析が必要であり、その点で統計数理研究所の知見、技術が欠かせないものとなる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

平井 洋子

東京都立大学