平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−59

専門分類

6

研究課題名

大気励起関数を既知とした場合の極運動励起特性の検出法の開発

フリガナ

代表者氏名

ナイトウ イサオ

内藤 勲夫

ローマ字

所属機関

国立天文台

所属部局

水沢観測センター

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1984年にスタートしたVLBI技術による地球回転の観測は従来の観測に比べ2桁程度の精度向上をもたらしている。一方,地球回転変動の最大の励起源と考えられている大気情報は気象庁などによる予報解析データに基づいて,大気角運動量関数として,1984年からルーチン的に算出されている。本研究はこれら高精度の入出力データを用いて,チャンドラー・ウォブルの励起特性を解明するための方法を確立する。


本研究の最終目的はチャンドラー・ウォブルの励起源の検出であるが,本年は,その第1段階として,チャンドラー・ウォブルの周期より極めて小さい,数日から数カ月の時間スケールの極運動の励起運動方程式のモデル化を行った。この時間スケールでは,チャンドラー・ウォブルの周期と減衰係数を一定とみなして良いから,励起モデルはAR型稈型モデルとする。
まず,石黒真木夫氏によって,複素数型及び実数型の5次元ARモデルのAIC最適化プログラムを作成していただき,本研究代表者が作成した大気励起関数データ及びVLBIによる極運動データにそれを適用した。現在,種々の立場からモデルの検討がなされているが,ほぼ,予想していた通り,数カ月未満の時間スケールの極運動は大気運動のみでモデルの最適化が実現しているようである。このことは,この時間スケールでの赤道軸のまわりの角運動量収支が大気運動のみで維持されていることを示している。
今後は,本年作成したプロトモデルを基礎として,種々の物理条件を満す実用モデルを作成し,これをさらに長い時間スケールに拡張する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究の成果は平成2年度日本気象学会秋季大会に発表の予定である。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

チャンドラー・ウォブルは約1.2年の周期を持つ地球の自由振動の一つである。このチャンドラー・ウォブルの特性を従来のスペクトル解析の手法を用いて解明しようとすると,少くとも10年以上の長さのデータが必要とされる。そこで,この困難を避けるために,まず地球の力学特性をモデル化し,加えて,チャンドラー・ウォブルの励起に最も寄与する大気情報(大気角運動量関数)を既知情報として,10年未満の長さのデータでも,大気以外のチャンドラー・ウォブルの励起源を検出する統計数理手法の必要性が要請されている。本共同研究はこの問題の解明の可能性を検討することに主眼を置き,もし,不可能ならば,他のいかなる情報を必要とするかを明らかにし,また,可能な場合はそのモデルのプロトタイプを作る。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所