平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−33

専門分類

5

研究課題名

生態系空間パターンのダイナミックス

フリガナ

代表者氏名

タイナカ ケイイチ

泰中 啓一

ローマ字

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生態系の生存競争の場である。本研究は競合する生物種から成る生態系を取扱い,空間パターンのダイナミックスを研究する。近年,環境変動と生態系の関係は重要になってきている。本研究は環境変動によって空間パターンや生物種間の関係がどのように変化するかについても調べる。


植物や動物の空間パターンは生物群集における重要な性質である。このパターンは様々な要因、例えば地形の非一様性、個体的の複雑な相互作用(捕食、競合、共生)などによって決定される。
最近、さまざまな物理系に対して、cell automataとか coupled maplattice などの格子モデルが注目を集めている。しかし、これらの方法は理論的取扱いがきわめてむずかしい。その最大の原因は平均場近似というものがほとんど知られていないことによる。そこで、本研究は化学反応モデルのシミュレーション・位置固定反応法によって、空間パターンを調べた。化学反応の場合には、平均場近似というものが確立しているからである。
次のような捕食モデルを考えた。X(餌)、Y(捕食者)、空地の3状態から成る系である。Yは死亡率dで空地になり、Xを捕食する。一方Xは空地に子供を産んで増殖するとした。いまここで死亡率dを変化させてみた。平均場理論は、Yの死亡率dの上昇によって、Yの定常密度は減少することを予測した。しかしシミュレーションの結果は、dを増しても Yは減るとは限らないことを示した。
この結果は次のような実際的意味をもつ:「ある生物を減らそうと思うとき、その生物を除去すれば減るという訳ではない。この結論に対しては空間相関が重要な役割を果たしている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

K.Tainaka & S.Fukazawa, Spatial Pattern in a Chemical Reaction System; J.Phys,Soc.Jpn, Vol. 61 No.6 June 1992.

日本物理学会、泰中、深沢、”位置固定反応系における捕食者、餌の空間パターン”1992年3月27日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.数値実験の競合する種から成る系のシミュレーションを行い,その統計的性質を調べる。環境変動や生物種の絶滅の問題も取扱う。
2.数理モデル。種の密度やパターンのダイナミックスに対する数理モデルを考える。とくに生物種がつくる空間パターンにおけるトポロジカルな乱れに着目し,パターンのダイナミックスを簡略化する。
3.野外調査。具体的に野外調査を行い,シミュレーション結果や数理モデルのチェックを行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

種村 正美

統計数理研究所

西森 拓

茨城大学

山村 靖夫

茨城大学