平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2010

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

点過程解析に基づく余震活動の時空間モデリング

フリガナ

代表者氏名

岩田 貴樹

ローマ字

IWATA Takaki

所属機関

早稲田大学

所属部局

国際教養学部

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 多くの大地震(即ち本震)は余震を伴う。その余震活動の時空間モデリングを行うことが本研究の目的である。特に、余震活動が非常に盛んな、本震断層近傍で起きたものをモデル化することを主眼としている。
 前年度には以下に記すようなことを行った。静的な応力変化と摩擦構成則と呼ばれる物理則(以下、「構成則」)の組み合わせにより、余震活動の空間分布を点過程として扱い、本震の滑り分布を求めるベイズ的手法を開発した。そして、この手法を2005年宮城県沖地震へ適用した。今年度は、これを発展させるべく、他の事例への適用として、1995年兵庫県南部地震および2000年鳥取県西部地震を対象とした解析を行った。2005年宮城県沖地震については、「波形インバージョン」と呼ばれる従来の手法から得られた結果と、大局的には一致する結果が得られ、手法の妥当性を示すことが出来たが、1995年兵庫県南部地震および2000年鳥取県西部地震に対する結果は、従来の手法によるものと必ずしもよい一致を見たとは言い難いものであった。本研究の手法では、計算時間軽減などのために、問題を単純化するようないくつかの仮定を置いているが、それらによる影響が考えられる。即ち、余震活動を扱うには、より複雑なモデリングが必要であることが示唆された。
 例えば、応力変動レートは時間的に一定という単純な仮定を置いているが、この仮定の下で、摩擦構成則に基づくモデリングを行うと、一般の余震活動の減衰を再現できないことは既に知られている。そのため、応力変動レートが時間的に変化するような状況を考えるべきであるという指摘も既にされている。但し、この点については、「余震によって生じる余震」(二次余震)の影響を考えるという考えもあり、これについて実データに基づく検証を、やはり点過程モデルによって試みた。その結果、本震のマグニチュードと最大余震のそれとが近い場合、すなわち二次余震活動が比較的盛んな場合には、応力変動レートが一定という仮定の下であっても、二次余震の影響のみで実際の余震活動を説明出来ることが分かった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[学会発表]
Iwata, T., Toda, S. and Ogata, Y., A Spatial Slip Distribution of the Several Large Earthquakes in Japan Derived from its Aftershock Activity and Rate-and-State Friction Law, The 6th International Workshop on Statistical Seismology, 2009年4月

Iwata, T., Effect of secondary aftershocks on aftershock decay in the rate- and state-friction model, European Geosciences Union General Assembly 2010, 2010年5月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(該当無し)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飯尾 能久

京都大学

尾形 良彦

統計数理研究所

遠田 晋次

産業技術総合研究所