平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2059

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

2

研究課題名

人工衛星データ復元に関する組合せ最適化モデルの構築

フリガナ

代表者氏名

イケガミ アツコ

池上 敦子

ローマ字

Atsuko Ikegami

所属機関

成蹊大学

所属部局

理工学部 情報科学科

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は, 磁気圏衛星Geotail によって観測され,2 次元ヒストグラム+ 10 個の統計量の形で圧縮・送信されたプラズマ粒子の速度分布データを, 組合せ最適化の手法を駆使することにより,3次元ヒストグラムに復元するための研究の3 年目である. これまで,本復元問題を最適化問題として扱い,混合整数計画問題として定式化することにより,数理計画用汎用ソフト(IBM 社のcplex)を利用して解を得る試みや,メタヒューリスティックを利用した試みを行ってきた.厳密解法(cplex)では,最適解を得た際には復元に成功するものの,非常に小さいサイズに限られ,実行時間1 時間程度の暫定解は偏りが大きく,正しい結果とかけ離れるものとなった.一方,タブー探索を利用した復元アルゴリズムは,初期解や目的関数の設定によって,連続するデータに関しておおまかな復元ができるものの,個々のデータに関しては,まだ完全な復元にいたっていない.
本年度は,いくつかの緩和問題を設定し,その解の質や特徴を調べることにより,ヒューリスティックアルゴリズムに有効な要素を洗い出すことを考えた.LP 緩和問題については,プラズマ数を表す変数を整数化した解を観察したが,2 次元データを3 次元に分散できない偏った結果となっていた.次に,制約式の一部を緩和した問題と,いくつかの制約式を1 つの式(代替制約)に統合したものを設定し,cplex を利用して整数解を列挙して,その中で元の制約を満たす解を探すことを試みた.しかし,2 つの緩和問題において,小さいサイズの問題でも全列挙はできず,列挙された解の中に元の制約を満たすものは見つからなかった.現在のところ,有効な緩和問題を見出せていない.一方,圧縮センシングの考え方を導入し,非ゼロとなる変数の数を最小化する制約を加えて復元を試みたが,cplex の実行時間が増加したばかりでなく,復元できる問題の数も減ってしまった.さらに,正しく復元された場合の非ゼロ変数のみで問題を記述し復元を試みたが,完全復元できる問題数はさほど多くならなかった.なお,圧縮のための式の特徴(係数の特徴)から,解の一意性が導けるかどうかについては,今後の課題として残っている.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

■学会発表
田辺亮平,木下順三郎,河野佑亮,池上敦子,上野玄太,土谷隆:"衛星観測プラズマデータの復元",日本オペレーションズ・リサーチ学会秋季研究発表会,pp.204-205,2010.9
■修士論文
田辺亮平:"衛星観測プラズマデータ復元問題に対する数理計画アプローチ",成蹊大学,2011.3
■卒業論文
木下順三郎:"衛星観測プラズマデータ復元問題 −探索空間絞込みのためのアプローチ−",成蹊大学,2011.3
河野佑亮:"衛星観測プラズマデータ復元問題 −混合整数計画問題における目的関数と条件設定−",成蹊大学,2011.3

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

土谷 隆

政策研究大学院大学