平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2009

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

地球電離圏における時空間変動のモデリング・推定手法の開発

フリガナ

代表者氏名

ナカノ シンヤ

中野 慎也

ローマ字

Nakano Shin'ya

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

51千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

電離圏は,電離した気体が中性の気体と共存する地上高度80kmから1000km程度の領域である.電離圏の状態は太陽活動や下層大気の影響により,日々刻一刻と変化している.こうした電離圏の変動は電波通信等に大きな影響を与える可能性があるため,電離圏の状態の把握,予測は重要な課題となっている.
現在,電離圏の状態を常時把握できるようにするために,イオノゾンデ観測や,大気光観測,GPSを用いた全電子数観測など,様々な手段による観測が行われている.特に,日本上空や米国上空などにおいては局所的ではあるものの空間的に高密度な観測網が展開されており,電離圏の電子密度分布などについての詳細な情報が常時取得できるようになってきている.しかし現状では,このような様々な観測データを電離圏の変動予測に活用できる段階には至っておらず,多様な観測データを活用した実用的な予測手法の開発が希求されている.
本研究では,将来的に電離圏の短期的予測を行う技術の確立することを目指して,電離圏の時間発展過程のモデリング手法の検討・開発を行うとともに,そのモデルを活用した電離圏の精度よい状態推定手法の開発を試みる.モデリングの際には,高い時間・空間分解能で電離圏の情報を得ることができるGPS全電子数データを主として用いる.GPS全電子数データとは,GPS衛星の電波が地上受信機に到達するまでに電離圏を通過することで起こる伝播遅延から,伝播経路上の電子数を算出したものである.
今年度は,統計数理研究所で1回,京都大学で1回の打ち合わせを行い,GPS衛星等のデータから電離圏電子密度を推定する際に問題となる幾つかの問題のうち,主として,プラズマ圏と呼ばれる電離圏よりも高い領域に分布する電子の寄与の問題について取り組んだ.また,GRACE衛星の電波遅延データを活用し,既存のプラズマ圏物理モデルと組み合わせてプラズマ圏の経度方向の構造を推定する方法についても検討を行った.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表等:
S. Nakano, M.-C. Fok, P. C. Brandt, and T. Higuchi, "Two-dimensional structure of the plasmasphere estimated by the ensemble transform Kalman filter", 第132回 地球電磁気・地球惑星圏学会講演会, 札幌, 2012年10月. (ポスター発表)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

五井 紫

京都大学

齊藤 昭則

京都大学

津川 卓也

独立行政法人 情報通信研究機構

穂積 裕太

京都大学