平成192007)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

19−共研−3001

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

植食性昆虫に対する天敵の捕食率の時空間モデリング

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサシ

村上 正志

ローマ字

MURAKAMI Masashi

所属機関

北海道大学

所属部局

北方生物圏フィールド科学センター

職  名

助手

配分経費

研究費

40千円

旅 費

120千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 自然界において多様な生物種からなる群集がどのようなメカニズムによって形作られているのかを解明することは生態学の中心課題の一つである。自然環境の人為改変が地球規模で急速に進む中、生物多様性の保全計画を立案・評価するためにも、野外の生物群集の形成機構を明らかにすることが不可欠である。
 群集構造の中で、生物間の縦のつながり、つまり、食物網構造についての研究は、生物間の横の広がり、つまり、生物の種多様性と並んで、群集生態学の柱となる研究テーマである。そのなかで、生物間の捕食関係が生息場所の環境異質性と生息地間の分散制限の影響を受けるとする仮説は、近年になってようやく、注目を集めることになっている。本計画では、植食性昆虫とその寄生蜂を材料として、植食者−寄生蜂間の捕食関係の時空間的な変異のモデリングを試みた。
 その結果、樹木種間で寄生率と寄生蜂種数の変異が見られ、植食者の資源となる植物の質が寄生関係にも影響することが示唆された。一方、分散の制約については、寄生率と種数の空間相関は共に小さく、生息場所間での分散は存在するとしても極めて弱いことが示された。これらの結果は、寄生蜂群集の種多様性を維持するメカニズムとして環境の制約が大きな影響を及ぼしていることを示唆しており、群集内部のメカニズムは環境の制約との相互作用の下で作用していると考えられる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表

日本生態学会 55回大会 ポスター発表 
「資源密度と生息場所構造の相互作用が寄生蜂群集の種多様性におよぼす影響」
 平尾聡秀,村上正志(北大・苫小牧研究林)


学術論文

Murakami, M., Hirao, T. & Kasei, A. (in press) Effects of habitat configuration on host-parasitoid food web structure. Ecological Research.

Hirao, T., Murakami, M. & Kashizaki, A. (in press) Importance of the understory stratum to entomofaunal diversity in a temperate deciduous forest. Ecological Research.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催せず

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所

平尾 聡秀

北海道大学