平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−59

専門分類

7

研究課題名

疫学研究におけるリスク評価のためのプログラム・システムの開発

フリガナ

代表者氏名

タカギ ヒロフミ

高木 廣文

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

疫学研究では,各要因の疾病に対するリスクを適切に評価する必要がある。リスク評価のためには,リスク比,オッズ比,比例ハザードモデルなどが用いられているが,信頼性が高くかつ高速なパソコン用のプログラム・システムはほとんど見あたらない。本研究の目的は各種のリスク評価の手法を検討し,高速で信頼性の高いプログラムをシステム化することにある。


平成2年度の共同研究においては,患者−対照研究で用いられるリスク評価のための手法を中心に,理論的な検討,およびプログラム開発のための数値計算アルゴリズムの開発に関する研究を行なった。
とくに,リスクを評価すべき要因が質的で,2分法的な場合に用いられている指標であるオッズ比について,検討を加えた。
疫学研究では,患者の基本的特性について対応づけのある対照を選定し(マッチング),偏りのないリスク評価が行えるように研究デザインを設定することが多い。この結果,マッチングした特性により,複数個の層別化された四分表が得られることになり,各層に共通するオッズ比(共通オッズ比)に関する推測が重要な問題となる。
従来は,Mantel−Haenszel推定量により,近似的に共通オッズ比の推定を行い,また近似的な分散を求めて,母共通オッズ比の信頼区間の構成を行っていた。これらの計算プログラムを作成することは当然のことではあるが,我々は条件付分布である非心超幾何分布に基づく推測のためのアルゴリズムの考案およびプログラムの開発を行なった。
具体的には,条件付最尤推定量とその漸近分散を求めるためのアルゴリズムとプログラムを開発し,それらを用いて,近似的な母共通オッズ比の信頼区間を構成するためのプログラムを開発した。
さらに,「正確な」方法と呼ばれている非心超幾何分布に基づいて,離散的な計算により信頼区間を構成するためのアルゴリズムを開発した。これにより,大型計算機でさえも計算時間がかかった信頼区間の計算が,パソコンでもある程度の標本数ならば計算可能となり,実用的なものとなった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Bulletin of the Biometric Society of Japan,vol.12,1991(予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

疫学研究ではよくケース・コントロール研究が行なわれ,複数個の層別化された四分表の要約オッズ比を推定することが多い。したがって,まず要約推定量を求めるプログラムを中心に開発する。ただし,従来Mantel−Haenszel推定量を中心に推定,検定が展開されてきたが,本研究では条件付尤度に基づく推定,検定を行なうためのプログラムを開発する。従来,条件付尤度に基づく推定値を求めるのは計算時間がかかるものとされているが,これを高速にパソコン上で求めるものを開発する。これに従来から用いられている各種の手法をプログラム化し,全体としてシステムとして統合する。これらのプログラムの開発に統計数理研究所の大型計算機及びパソコンを使用する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市川 雅教

東京外国語大学

佐伯 圭一郎

大分県立看護科学大学

佐藤 俊哉

統計数理研究所

中井 里史

横浜国立大学

新田 裕史

国立環境研究所