昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−61

専門分類

7

研究課題名

歯および歯列に関する統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

ミウラ フジオ

三浦 不二夫

ローマ字

所属機関

東京医科歯科大学

所属部局

職  名

名誉教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

調和のとれた咬合の確立をめざす歯科矯正学において,咬合を形づくる重要な要素として歯およびそれらの集合した歯列がある。これらの要素の相互関連性を統計学的に分析し,不正咬合の診断や治療に対し有効な指針を与えることを本研究の目的とする。


近年,歯科矯正学の分野において,顎骨の大きさと歯の大きさとの不調和(discrepancy)による不正咬合の問題が注目されてきている。
この様に,調和のとれた咬合の確立における重要な要素のひとつである歯の大きさについて,その相互関連性を統計学的に分析することを目的とし,東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵の顎態模型を用い,414人のそれぞれ14歯について検討を行った。
咬合の確立する過程において,特徴的な変化として乳歯から永久歯への歯の交換現象がある。この乳歯と永久歯の共存する早い時期(混合歯列期)に,将来萠出する歯および歯群の大きさを予測することは,臨床上不正咬合の矯正診断時,治療計画をたてるうえで大変有用であるといえる。
これらのことから,まずはじめに多変量解析法のひとつである重回帰分析を行い,次の結果が得られた。
即ち,萠出時期の遅い第2大臼歯および側方歯群(犬歯,第1小臼歯,第2小臼歯)を目的変数とし,萠出時期の早い中切歯,側切歯および第1大臼歯を説明変数と設定した時,予測値と実際の値とのずれは,第2大臼歯について上下顎とも±0.7mm程度であり,側方歯群については同じく上下顎とも±1.4mm程度であることがみとめられた。
このことから,重回帰式による末萠出歯および歯群の予測法は臨床的に充分有効であり,さらに,顎骨内の未萠出歯をX線撮影したフィルムから調べる方法と比べ被爆線量の点からも有用であるといえる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上記の研究目的のうち,まず第1番目の要素として歯の大きさ(歯冠近遠心幅径値)がある。これに関する研究は,従来より,歯科の分野において数多く報告されてきているが,その対象とした標本数は少数のものが多く,充分に母集団の性格を反映させているものとは考えられない。
上記の観点から,今回は東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵の顎態模型を用い,歯の大きさについて,多数データを基にして多変量解析等の統計学的手法を活用し,個々の歯の大きさが咬合状態の形成に如何に関与しているかを検討する所存である。
それにより,矯正臨床における不正咬合者の診断や治療目標の設定および咬合の育成や誘導に有効な指針を与えることが可能となるものと考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

青木 美穂

東京医科歯科大学

飯田 忠夫

飯田矯正歯科医院

小西 貞則

九州大学

杉浦 成昭

筑波大学

杉山 高一

中央大学

鈴木 義一郎

統計数理研究所

相馬 邦道

東京医科歯科大学