昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−27

専門分類

4

研究課題名

データのグラフ表現に基づく統計量の理論的・実証的研究

フリガナ

代表者氏名

シラハタ シンゴ

白旗 慎吾

ローマ字

所属機関

大阪大学

所属部局

教養部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年,データをグラフに表現して解釈することが盛んになってきた。星座グラフやチャーノフの顔形グラフの利用がその代表であろう。しかしながら,これらの方法はデータの直観的解釈を容易にする反面,解釈は解析者の主観に強く依存する。本研究では,データのグラフ表現による直観的解釈を反映する統計量の構成とその解析を目的とする。


本研究では,順位データや多変量データを直観的に把握しやすいように2次元平面に表現し,かつその直観的解釈を反映する統計量を構成してその性質を調べることを目的とした。当初は共同研究者白旗,馬場,脇本が統計数理研究所に集まり,何度か討論の場を持つ予定であったが,旅費の制約のため白旗と脇本が個別に馬場を訪問し議論を行うにとどまり,研究は各個に行なわれた。各人の研究実施状況および成果は以下のとおりである。
白旗はk標本問題における順位データのグラフ表現法を考察した。k標本問題に対する従来のノンパラメトリック法はデータの直観的な把握に対しては何等考慮されていなかった。各標本のデータを凸多角形に表現する方法を考察し,もし標本がすべて同じ分布に従うなら凸多角形は正多角形に近くなる筈であり,凸多角形の面積和,重心の座標等を考察しその漸近分布を導き,通常用いられる順位検定との比較を行った。効率は比効的高く,視覚的に解釈できる長所を持つことを思えばこれらの統計量は有用であろう。
馬場は,データのグラフ表現法を分析的に検討し,
(1)点,直線,曲線,それらで構成される図形などの図形要素と変数や数学的概念との対応(2)図形要素の相互の配置の仕方,の違いにより単なるデータの表現から数学的な概念と密接に関係したものまで,種々のグラフが生成されることを明らかにした。
脇本は,都道府県における外食店舗数とその売上高を例に挙げて,2次元データに漢字を対応させ視覚的に多数のデータを比較できる方法を開発した。漢字は日本人にとって感覚的に馴染み深いのでデータ解析に有用であろう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.白旗慎吾 Rank tests based on a graphical representation for the k−sample problem.(投稿準備中)
2.馬場康雄(1988) グラフ統計解析法の数理。第2回日本計算機統計学会シンポジウム論文集53−54
3.脇本和昌(1988) 多変量データの漢字表現とクラスタリングへの応用。計算機統計学1,p.11−21
4.脇本和昌(1988) Constellation graph model for prediction.J.Japanese Soc.Comp.Statist,1,45−57.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究では,データのグラフ表現に,1個の観測値を1つのベクトルに表現し,そのベクトルを組み合わせて2次元平面に表現する方法(連結ベクトル表現)を主として考察する。共同研究者白旗,馬場,脇本はそれぞれ個別に,または共同して,多変量データの表現,適合度検定,一致検定等に連結ベクトル表現を応用してきたが,さらに調査データへの応用,k−標本問題等各種の統計的問題への理論的・実証的研究を行う。また,連結ペクトル表現によるグラフ表現は一意的とは限らず,多くの表現法がある。コンピュータ・グラフィックスにより,より良い表現法を探索的に考察する。そのためにはコンピュータのソフト・ハードともに使用環境の良い統計数理研究所の共同研究が望ましい。さらに,共同研究者による討論,情報の交換を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所

脇本 和昌

岡山大学