平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2010

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

データ同化にもとづく放射線帯の物理過程の究明

フリガナ

代表者氏名

ミヨシ ヨシズミ

三好 由純

ローマ字

Miyoshi Yoshizumi

所属機関

名古屋大学

所属部局

太陽地球環境研究所

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

37千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球周辺の宇宙空間には、放射線帯と呼ばれる高エネルギー粒子群が存在する領域がある。この高エネルギー粒子の時間変動を記述するために、従来、輸送拡散項と消失項からなるFokker-Planck方程式にもとづいて、粒子拡散による位相空間密度の時間・空間発展の計算が行われてきた。一方、近年の放射線帯の研究からは、粒子拡散以外の物理過程が放射線帯の加速過程に影響を及ぼしている可能性が指摘されるとともに、粒子のエネルギーによって異なったふるまいを示すこと可能性が指摘されている。

このことをふまえ、本研究ではFokker-Planck方程式に人工的な項 Sを付け加え、人工衛星観測による放射線帯粒子データとのデータ同化によって、Sの時間変化を高精度に推定することを試みる。このSが正の値を持つ際には、粒子拡散以外に何らかの加速過程が粒子ダイナミクスに効いていることが期待される。一方、このSが負の値を示す際には、Fokker-Planck方程式には含まれていない消失過程が存在することを意味している。このSの値は、粒子のエネルギーによって異なったふるまいを示す可能性がある。平成23年度の研究の結果、尤度計算の際にSを含める手法においては、アンサンブルの退化により適切な状態推定が難しくなることが判明した。この結果をふまえ、平成24年度は状態空間ベクトルにダイレクトにSを組み込んで推定を行う手法の開発を予定している。また、2つの異なるエネルギーに対するデータ同化計算も進めており、データ同化から推定されたFokker-Planck方程式の各項のふるまいが、エネルギー依存性を持つ様子が明らかになっている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

名古屋大学工学部卒業論文:データ同化を用いた放射線帯シミュレーションパラメータの推定(外山晴途、指導教員 三好由純)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所