平成222010)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

22−共研−1017

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

離散確率分布論とその統計的応用研究

フリガナ

代表者氏名

イノウエ キヨシ

井上 潔司

ローマ字

Inoue Kiyoshi

所属機関

成蹊大学

所属部局

経済学部

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

有限個の文字を値にとる離散確率変数列(試行列)において,長さ有限の文字列(パターン)や連に関する確率分布の厳密な導出方法の提案,およびその統計的応用の研究を行ってきた.これまでに考察してきた確率分布は主に,(1)パターン(または連)が与えられた回数だけ起こるまでの待ち時間分布, (2)長さ有限の試行列において,パターン(または連)の起こる数の分布,に大別される.これらの確率分布論研究は理論的な関心を集めているだけではなく,さまざまな諸分野へ極めて有益な方法論を提供し続けている.最近特に重要度が増している,走査型統計量,パターンマッチング,信頼性工学,品質管理,DNA系列の統計的解析といった研究分野への応用可能性を念頭に置きながら,いままで多くの研究成果を論文としてまとめ,学会・研究集会で発表してきた.
今年度の結果は次のとおりである.
 いままで,IID系列上だけではなく,様々な依存系列上において離散確率分布の研究が行われてきた.そこで,本研究では{0,1}-可換試行列における離散確率分布論の研究を行った.円周上に配置された{0,1}-値可換確率変数列において,長さkの成功連の数の分布を導出した(ここでは"1"を成功"0"を失敗と呼ぶ).ここでは成功連の数を異なる3つの数え方(重複しない数え方,長さk以上を数える数え方,重複する数え方)を採用して考察した.あわせて,パラメーター推定問題も扱った.さらには,本研究での導出結果が信頼性工学における諸問題へ応用可能であることを示した.特に,信頼性工学的システム,circular x-consecutive-k-out-of-n:F systemを考察し,その信頼度の厳密な計算を行った.これらの結果はInoue, K. and Aki, S. (2010). On the conditional and unconditional distributions of the number of success runs on a circle with applications, Statistics and Probability Letters, Vol. 80, 874-885. に掲載された.
ここで導出した結果を,日本数学会2010年度秋季総合分科会統計数学分科会特別講演で「連, スキャン, パターンの分布理論とその応用」というタイトルで講演を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Inoue, K. and Aki, S. (2010). On the conditional and unconditional distributions of the number of success runs on a circle with applications, Statistics and Probability Letters, Vol. 80, 874-885.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

関西大学

平野 勝臣

城西大学