平成18（2006）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	18−共研−2009			専門分類		1
研究課題名	確率解析による統計学の研究
フリガナ 代表者氏名	サカモト　ユウジ 阪本　雄二			ローマ字		SAKAMOTO Yuji
所属機関	広島国際大学
所属部局	人間環境学部
職　　名	助教授
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配分経費	研究費	50千円	旅　費		110千円		研究参加者数	9　人

研究目的と成果（経過）の概要

確率過程に関する統計推測は様々な応用分野で重要な役割を担い，データの平滑化に際しては確率過程論・確率解析を援用しての統計解析が根底にある．我々の研究目的は，厳密な理論の上に立った漸近推測手法の開発・整備である．

内田は，拡散過程モデルから得られる離散観測データに関するM推定を，モデルの誤特定がある可能性の下で研究した．パラメータの擬似真値に関する推定量を構成し，その漸近正規性を導出した．

清水は，ジャンプ型の拡散過程に対する離散観測による推測論について研究し，特に，ジャンプ判別のためのフィルターの構成に関する研究を行った．高頻度観測が与えられた下でのジャンプ判別のための閾値の選択法について，実行可能性の高いアルゴリズムを提案し，その方法論の数理的正当性について一定の結果を得た．

西山は，拡散過程のドリフト項に関する適合度検定を，経験過程の理論に基づいて研究した．重み付き経験過程から成る一種の統計量の漸近分布に関し，以下を証明した：帰無仮説のもとで漸近的にdistribution free；対立仮説のもとで一致性をもつ．

増田は，飛躍付拡散過程の推測に関して重要な役割を演じるエルゴード性，指数的ミキシング性，積率の時間一様有界性を導出した．特に飛躍が複合ポアソン型である場合に，検証容易な条件を与えた．

吉田は，統計的確率場の解析において，対応するM推定量，もしくはベイズ推定量が各パラメータについて異なる最適収束率を持ち得る場合の漸近推測論を定式化した．これは例えば離散観測される拡散過程モデルにおいてよく知られた現象であり，収束率の早い推定量から適合的に推測を行う際に重要である．特に上記の枠組みにおいて推定量の積率の収束も導出され，パラメータを推定量に置き換えて解析を行う予測の際などに基本的かつ重要な役割を演じる．

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

【論文】
Negri, I. and Nishiyama, Y. (2006), Goodness of fit test for ergodic diffusion processes. Preprint.

Masuda, H. (2007), Ergodicity and exponential $eta$-mixing bound for multidimensional diffusions with jumps. Stochastic Processes Appl. 117, 35--56.

Masuda, H. (2007), On ergodic property of diffusions with jumps of compound Poisson type. Preprint.

Shimizu, Y. (2005), Model Selection for Levy Characteristics in Discretely Observed Jump-Diffusion Models from the Aspect of Information Criteria. Preprint.

Shimizu, Y. (2006), A practical inference for discretely observed jump-diffusions from finite samples. Preprint.

Yoshida, N. (2005), Polynomial type large deviation inequality and its applications. Preprint.

【学会発表】
Uchida, M. “Estimation of discretely observed ergodic diffusion processes under misspecified models”，[確率解析と統計学、平成１９年２月１５日、統計数理研究所]

Nishiyama, Y. “拡散過程の適合度検定”, [確率解析と統計学、平成１９年２月１５日、統計数理研究所]

Masuda, H. “飛躍型過程の安定性について”, [確率解析と統計学、平成１９年２月１５日、統計数理研究所]

Yoshida, N. “Statistical random field with graded parameters and mighty convergence”, [確率解析と統計学、平成１９年２月１５日、統計数理研究所]

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

確率解析と統計学、平成１９年２月１５日、統計数理研究所、１５名

研究参加者一覧
氏名	所属機関
内田　雅之	九州大学
清水　泰隆	大阪大学
志村　隆彰	統計数理研究所
塚原　英敦	成城大学
西山　陽一	統計数理研究所
増田　弘毅	九州大学
松田　安昌	東北大学
吉田　朋広	東京大学