平成2（1990）年度　共同研究実施報告書

課題番号	2−共研−69			専門分類		7
研究課題名	歯および歯列に関する統計学的研究
フリガナ 代表者氏名	ミウラ　フジオ 三浦　不二夫			ローマ字
所属機関	東京医科歯科大学
所属部局
職　　名	名誉教授
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	9　人

研究目的と成果（経過）の概要

調和のとれた咬合の確立をめざす歯科矯正学において，咬合を形づくる重要な要素として歯およびそれらの集合した歯列がある。これらの要素の相互関連性を統計学的に分析し，不正咬合の診断や治療に対し，有効な指針を与えることを本研究の目的とする。


東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵の顎態模型より得られたデータを基に，歯冠近遠心幅径値からみた相互関連性について検討を行った。単相関，重回帰分析，主成分分析，クラスター分析，正準相関分析等の手法を用いた結果，次のことが判った。
歯の大きさには咬合を構成させるために，顎内や顎間が片方が大きければ一方は小さくなるというようないくつかの基本的な関係が存在し，それと共に，咬合の不調和をもたらすような特異的な成分が存在するものと考えられた。これらは，次のようにまとめられた。
１．歯の大きさは，上下顎内，また上下顎間で強い相関関係がある。
２．切歯群と犬歯が大きい場合，小臼歯群と大臼歯群は小さい傾向がみられる。
３．切歯群と大臼歯群が大きい場合，犬歯と小臼歯群は小さい傾向がみられる。
４．切歯群と小臼歯群が大きい場合，犬歯と大臼歯群は小さい傾向がみられる。
５．上下顎の１４本の歯幅値は，切歯群，犬歯，小臼歯群，大臼歯群の大きく４つのグループにわかれるが，上顎側切歯は，切歯群のグループからやや離れた関係にある。
６．小さな歯幅値グループは，空隙歯列を示す。
これらの結果は，前年度の研究結果とも併せ，矯正臨床における診断や治療に際して，有効な指針となるものと考える。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

口腔病学会雑誌第５８巻第２号
平成３年６月３０日発表予定
「歯冠近遠心幅径値からみた歯の相互関連性」
飯田忠夫
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第一講座（指導：三浦不二夫教授）

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成元年度は，昭和６３年に引きつづいて，東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵のデータから歯の大きさについて多変量解析の手法を用いて，歯列内における個々の歯の相互関連性を検討した。データ数の追加や分類により個々の歯の大きさが咬合状態の形成に複雑に関与していることが判った。
これらのことから，平成２年度はさらにパノラマＸ線写真からのデータを基に歯の萠出順序と歯列の咬合状態との関連性についての検討を，大型計算機を用いて統計学的に行う所存である。それにより矯正臨床における不正咬合者の診断や治療目標の設定にさらに有効な指針を与えることが可能となるものと考える。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
青木 美穂	東京医科歯科大学
飯田 忠夫	飯田矯正歯科医院
小西　貞則	九州大学
酒井　悦子	東京医科歯科大学
杉浦　成昭	筑波大学
杉山　高一	中央大学
鈴木　義一郎	統計数理研究所
相馬　邦道	東京医科歯科大学