平成232011)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

23−共研−4401

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

2

研究課題名

サービス現場における課題解決のための大規模データ活用手法に関する研究

重点テーマ

サービス科学の深化を支える統計数理科学

フリガナ

代表者氏名

モトムラ ヨウイチ

本村 陽一

ローマ字

Motomura Yoichi

所属機関

独立行政法人 産業技術総合研究所

所属部局

サービス工学研究センター大規模データモデリング研究チーム

職  名

チーム長

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

[目的]サービスにおいては、その無形性・異質性・同時性・消滅性といった性質から、これまでの自然科学、工学で行われてきたモデリング手法が適用困難であり、そのことがサービス品質の管理、生産性の向上、最適化などを阻害している。そこでサービス現場における具体的課題を解決することを目的として、サービス現場で生まれる大規模データの計算モデル化手法を研究し、さらにその計算モデルを活用することでサービス品質管理、生産性向上、最適化を実現する手法の検討を行う。

[成果]ID付POSデータやアクセスログデータなどの大規模実データを対象に、多層潜在クラス分析などの重要カテゴリや非線形相互作用の抽出、状況依存性、個人依存性の探索, 需要予測などを行うソフトウェアの評価を行った。これを用いて全国300店舗の直営店を持つ大手企業の会員顧客のID-POSデータを分析し、購買した商品の平均価格帯に対して相関の高い顧客セグメントを抽出した。
この顧客セグメントでラベル化することにより、会員顧客だけでなく、同一商品セグメントにある商品を購入した、非会員の消費者行動として商品選択確率を評価、シミュレートできる計算モデルが構築できるようになった。さらにこの一連の大規模データからのモデル化、推論を学術・工学的に広く共有するために他のソフトウェアからも利用できるアクセスプロトコル(API)の整備を行った。これを用いて、各種の研究用プログラムや応用ソフトウェア(アプリケーション)を相互に連携することでデータ同化シミュレーションやサービス現場への介入を可能にする手法の研究を加速することができる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・本村陽一: ベイジアンネットによる実生活・実社会コンピューティング, 人工知能学会基本問題研究会予稿集,B-102, pp.83-88, 2011.11
・本村陽一: サービス工学におけるユーザモデリング, 電子情報通信学会誌, vol.94, no.9, pp.783-787, 2011.9
・本村陽一: サービス工学における大規模データモデリングアプローチ, 知能と情報, vol.23,no.3, pp.281-286, 2011.6
・石垣司, 竹中毅, 本村陽一: 日常購買行動に関する大規模データの融合による顧客行動予測システム(実サービス支援のためのカテゴリマイニング技術), 人工知能学会論文誌, vol.26, no.6, pp.670-681, 2011.6
・本村陽一, 石垣司, 竹中毅: 大規模データモデリングによるサービス工学の実践〜ID-POSデータ活用事例, 日本機械学会誌, vol.114,no.1110, pp.376-379, 2011.5
・小柴等,竹中毅,本村陽一: ステイクホルダ分析と実データに基づく経営者支援システムの開発,
人工知能学会 社会における AI研究会 第14回研究会, 2012.2
・竹中毅,小柴等,本村陽一: 大規模購買履歴データと顧客接点情報の統合によるサービス最適化戦略,
人工知能学会 社会における AI研究会 第14回研究会, 2012.2
・本村陽一: 生活情報のカテゴリ化・構造化モデリングによる生活支援技術,
人工知能学会 社会における AI研究会 第14回研究会, 2012.2
・本村陽一, 竹中毅, 小柴等: 店頭タブレット端末を用いた顧客フィードバックとID-POSデータの統合による顧客分析, 行動計量学会第39回全国大会, 2011.9
・竹中毅, 小柴等, 本村陽一, 新村 猛: 外食チェーンのオンラインデータからの消費者行動分析  〜需要予測、メニュー開発への応用〜 , 行動計量学会第39回全国大会, 2011.9
・竹中毅, 石垣司, 本村陽一:生活者行動に着目したサービス需要予測技術の検討, 人工知能学会全国大会, 2011.6
・本村陽一, 竹中毅, 石垣司: 条件付層別差分モデルによる需要予測の高精度化, 人工知能学会全国大会, 2011.6
・石垣司, 竹中毅, 本村陽一: 潜在クラスモデルによる流通量販店舗の来店人数予測の精度改善の評価, 人工知能学会全国大会, 2011.6

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

テーマ:サービス科学・サービス工学についての検討会
日時:12月15日(木)、午後2時〜
場所:統数研サテライトオフィス(八重洲)
参加者数:6名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石垣 司

独立行政法人 産業技術総合研究所

川崎 能典

統計数理研究所

佐藤 忠彦

筑波大学

竹中 毅

独立行政法人 産業技術総合研究所

照井 伸彦

東北大学

樋口 知之

統計数理研究所