昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−95

専門分類

8

研究課題名

国際比較に基く自尊心の測定方法の開発

フリガナ

代表者氏名

ササキ マサミチ

佐々木 正道

ローマ字

所属機関

兵庫教育大学

所属部局

学校教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は次の通りである。
1)既存の自尊心研究が欧米の質問紙の翻案が多かったことを方法論的視点から再検討し,2)日本,韓国,台湾,シンガポール,オーストラリア,ニュージーランド,カナダ,アメリカおよびポーランドの青少年の意識の比較を通して,各文化に普遍的な要素と特徴的な要素を見出し,3)より普遍的な自尊心についての測定法を確立する。


本研究ではアジア諸国をとりあげ,日本,台湾,シンガポール及び韓国の青少年の意識の比較を行った。自由記述の結果,項目の各国5パーセント以上のものをもとに4カ国共通の質問項目を考案し本調査を行った。本調査では韓国のデータの到着が遅かったため韓国以外の3国のデータ(日本916名,台湾819名,シンガポール951名,合計2686名)を分析した。因子分析で,第一因子「自己実現性」,第二因子「安全性」をえた。これらを従属変数にし重回帰分析した結果,第一因子「自己実現性」については2カ国以上に共通の変数として「他者大切感」,「年齢」,「学校への満足度」,「学習時間」,「過去経験への満足度」がえられた。第二因子「安全性」については3カ国に共通して寄与する変数として「家庭の雰囲気」,「他者大切感」が抽出された。数量化理論3類による分析結果,各国とも自己尊重傾向は「自己尊重」と「非自己尊重」によって区分される第1軸と「対人関係よりもどちらかというと精神生活を重視するタイプ」と「精神生活よりも対人関係を重視するタイプ」によって区分される第2軸がえられた。自己を尊重していると感じるイメージは精神面と対人関係面両方が接近してあたかもひとつのものとして青少年に意識されるが,精神面のマイナスイメージと対人関係のマイナスイメージはプラスイメージに比べ別のものとして意識される傾向にあった。対人関係及び精神生活両面を大切にしていくことが自己尊重の中核をなすこと,また年齢が高くなるにつれて自己尊重が対人関係の中で実現されようとする方向に移行していくこと,また台湾よりシンガポールが,シンガポールより日本が男女の意識の差が小さいという結果をえた。
(研究の概要を別紙の論文にて添付致します。)


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本心理学会 関西社会学会


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

従来の自尊心研究は比較的小規模の単位を対象として行われてきたが,青少年の意識の国際比較分析を通しての普遍的な理論はまだ構築されていない。
そこで本研究では既存のクーパースミス尺度とともに,各国の自由記述および独自の質問項目をもとに,文化を超えた普遍的理論の構築を数理統計上の問題を整理しつつ行おうとするものである。
現在,日本,韓国,台湾,シンガポール,オーストラリア,ニュージーランド,カナダ,アメリカ,ポーランドからのデータをえつつあるが,理論構築のため,さらに日本において吟味検討の調査資料収集を9月までに行い,これらをもとに総合的分析を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鈴木 達三

帝京平成大学

服部 千秋

兵庫県立明石西高等学校