平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−89

専門分類

7

研究課題名

血清総コレステロール値に関する遺伝因子、環境因子の疫学的研究−2世代にわたる疫学調査成績へのパス解析の応用−

フリガナ

代表者氏名

イソ ヒロヤス

磯 博康

ローマ字

所属機関

筑波大学

所属部局

社会医学系

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

循環器疾患の重要な発症要因の一つである血清総コレステロール値の遺伝因子、環境因子に関してそれぞれ単独の検討は数多くあるが、両因子の検討を同時に行い、それらの寄与の大きさを比較検討した研究は数少ない。
そこで、秋田農村における親子2世代にわたる循環器検診の成績を分析し、血清総コレステロール値に関与する遺伝因子、環境因子の寄与度を定量的に分析する。


【目的】循環器疾患の重要な発症要因の一つである血清総コレステロール値に関して、秋田農村における親子2世代にわたる循環器検診の成績を分析し、血清総コレステロール値に関与する遺伝因子、環境因子の寄与度を定量的に分析することを目的とした。
【方法】秋田県一農村(人口7千人)において1963〜66年に循環器検診を受診した当時35〜49歳の男女の子供は四半世紀後の現在はほぼ同年齢に達している。そこで、子供の1989〜1992年の循環器検診成績を用いて、親子間で30〜49歳時の血清総コレステロール値を比較した。血清総コレステロール値の測定は米国のCenter for Disease Controlによって精度管理を受けており、2世代間の血清総コレステロール値は比較可能である。
【結果及び考察】子が男子で、父、母の三者とも血清総コレステロール値の測定を受けた192組について分析を行った。血清総コレステロール値の平均値(標準偏差)は子が187(33)mg/dl、父が157(31)mg/dl、母が153(29)mg/dlで子が、父母に比し約30mg/dl高値を示した(p<0.001)。平均年齢はそれぞれ38歳、42歳、38歳であった。子、父、母の三者間で血清総コレステロール値の単相関をみたところ、子−父間はγ=0.25(p<0.001)、子−母間はγ=0.24(p=0.001)父−母間γ=0.16(p=0.02)であった。子が父母に比べて、血清総コレステロール値が高いのは、この25年間の食生活を中心とする生活環境の変化が寄与している。また、パス解析によると、親子間の遺伝の関与は全体の血清総コレステロール値の変動の6%を占めた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

秋田県一農村(人口7千人)において1963〜66年に循環器検診を受診した当時30〜59歳の男女の子供は四半世紀後の現在はほぼ同年齢に達しており、1989〜1992年の循環器検診成績を用いて、親子間で同一年齢時の血清総コレステロール値を比較し得る。
また、兄弟姉妹間の血清総コレステロール値の比較も併せて行い、パス解析等の統計的手法を用い、遺伝因子、環境因子の寄与度を定量的に分析する。実の親子兄弟姉妹の同定は町の協力によって行う。
本研究において、重要な点は(1)親子兄弟姉妹の正確な同定(2)適切な統計的手法の適用である。(1)の作業については、平成4年度の作業により356ペアの同定が完了した。平成4年度は(2)の作業を本格的に開始し、統計数理研究所との共同により、パス解析等の統計的手法を適用し、考察を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

今野 弘規

筑波大学大学院

駒澤 勉

統計数理研究所

山海 知子

筑波大学