昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−26

専門分類

3

研究課題名

実データにおける擾乱源の性質と情報量規準の関係

フリガナ

代表者氏名

タムラ ヨシアキ

田村 良明

ローマ字

所属機関

国立天文台

所属部局

地球回転研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

データ解析におけるモデルの選択には,情報量規準が用いられるが,実データでは,しばしば個有の問題や擾乱が伴なうことがあり,モデルの選択には,それらの性質と情報量規準の関係をくわしく把握する必要がある。本研究では,実データの例として,主に地球物理関係の資料を用い,擾乱源の性質と情報量規準の関係について研究を行なう。


データ解析におけるモデルの選択には,情報量規準(AIC,ABIC)が用いられる。実データの解析では,異常値の存在や,予想外の大きな擾乱作用を受けていたり,物理過程のモデル化に著しく不適切な場合があるために,規準を用いても,最適なモデルが選択されない可能性が考えられる。
本研究では,上記のような特殊な解釈が必要となる事例を集めることから着手した。考えられる事例としては,マルチチャンネル解析において,応答をみるべき入力データ間が独立ではなく,強い相関が見られる場合や,周期によって応答特性が大きく異なると考えられる事例,現象の物理過程が必ずしも解明されていない事例の収集にあたった。具体的な資料としては,緯度観測所で観測を行っている地球物理関係の資料,特に地球潮汐データを対象として研究を実施した。
一般に,地球物理関係の観測資料は,気圧・気温変化などの気象現象による擾乱作用を受けていることは明白でありながら,その物理過程の解釈がなされていない例が多数ある。本研究は,特定の資料の解析をとおして,擾乱作用の物理的過程の解明,最適ラグ数の決定,統計的性質の解析を行ったが,この成果は,同様な事情を抱える他の地球物理関係の資料の解析にも還元できる。
成果の具体的な応用としては,これまでの共同研究で開発した,潮汐解析プログラム(BAYTAP in TIMSAC84)の改良を進めている。旧版のBAYTAPは,すでに約20ケ所の大学・研究機関等に配布されている。新版は,印刷物の形ではまだ公開されていないが,2・3の機関で暫定版を利用いただいている。いづれ,一般の公開利用が可能なように,プログラムおよび手引書の整備を進めている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1)月刊地球 1988年5月号
「ベイズモデルによる地球潮汐データ解析」


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)実データに対する解析モデルの選択で,情報量規準(AIC,ABIC)が有効に働く例と,逆に擾乱源を伴ない,有効に働らかず,なんらかの特殊な解釈が必要となる例を集める。
(2)後者の例に対して,モデルを変更した場合の情報規準量(及び残差)の変化から,擾乱源の性質を調べる。
(3)資料の収集・解析,および擾乱作用の物理的メカニズムの解釈については,主に田村と佐藤があたり,統計的性質についての研究は主に石黒があたる。
(4)成果の具体的な応用として,潮汐解析プログラム(BAYTAP in TIMSAC84)の改良を行なう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

佐藤 忠弘

国立天文台