平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−52

専門分類

6

研究課題名

微動に含まれる種々の波群の統計的手法による識別

フリガナ

代表者氏名

オカダ ヒロシ

岡田 広

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

アレイ観測で得られる微動記録には、実体波、表面波の他に複雑な地下構造に起因する散乱波も含まれている。より精密な地下構造決定にはこの散乱波源の3次元空間分布まで推定する必要がある。それには、まず微動に含まれる実体波、表面波、散乱波の識別が重要で、本研究はこれらの波群を識別するための統計的手法を開発する。


最近、地下構造の推定に微動を利用する方法が研究されている。微動は、時間的にも空間的にも極めて複雑かつランダムな震動現象であるが、本質的には実体波、表面波、散乱波の集まりである。微動を利用して精密な地下構造決定するには、まず微動に含まれる実体波、表面波、散乱波の識別が重要で、本研究ではこれらの波群を識別するための統計的手法の開発を行った。
微動の中で最も優勢な波は表面波である。本研究では微動の中からこの表面波を識別する方法について検討した。微動を定常確率過程と仮定し、その積分表示を導くことにより、表面波の識別に適切な微動観測アレイを考案した。それは中心点に1点、円周上に多数の観測点を有する円形アレイである。
この円形アレイによって観測されるデータについて、中心点と円周上の点との相関の方位平均からなる空間自己相関関数及びその係数を定義した。このアレイを使って、微動の(1)上下動成分を観測すれば、空間自己相関係数はレイリー波基本モードの波数を変数とする第一種0次のベッセル関数で表現できること、(2)上下動及び水平動2成分の計3成分観測をすれば、空間自己相関関数をパラメータとし、レイリー波およびラブ波の基本モードの波数を変数とする第一種0次および2次のベッセル関数からなる特性方程式の得られること、等が分かった。これにより、微動中の最も優勢な波=表面波についてはレイリー波とラブ波とに分離して識別できるという結果を得た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

凌甦群・岡田広、微動探査法における空間自己相関法の拡張、物理探査学会、1993年10月12日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

微動は主に実体波、表面波、散乱波の集まりである。現在、約10点のアレイ観測で微動に含まれる表面波を分散の形で検出し、これより水平成層の地下構造を第一近似として推定しうる段階にある。
しかし、現実の地下構造はより複雑で、その複雑さが2次的に散乱波を発生させて微動を複雑にしている。微動による精密な地下構造決定には、散乱波源の3次元空間分布も特定しなければならない。
本研究では、観測データに基づいて、統計的モデリングの観点から微動中の実体波や表面波のみならず散乱波をも識別しうる新しい解析法の開発を目的としている。そのためには、統計数理研究所および北海道大学の研究者の共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所

Jiang Xing-Qi

旭川大学

高波 鐵夫

北海道大学

Ling Su-Qun

北海道大学大学院