平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2037

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

現代日本人の政治的無関心・政策選好に関するコウホート 分析

フリガナ

代表者氏名

ミフネ ツヨシ

三船 毅

ローマ字

Tsuyoshi Mifune

所属機関

中央大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 今年度の研究目的は、日本人の政治不信、および政治的無関心の推移をベイズ型コウホートモデルによる分析から捉えることであった。以下、「政治不信の分析」と「政治的無関心の分析」に分けて記す。
(1)「政治不信の分析」
 内外の先行研究から、日本における政治不信は先進国の中でも高い水準で推移し、1990年代中頃からはさらに上昇していると論じられてきた。しかしながら、日本における政治不信の長期的変動を究明した研究は管見の限りないのが現状である。本研究はこのような現状を踏まえて、1976年から2007年までの日本における政治不信の変動要因を、ベイズ型コウホートモデルによる分析から捉えることを目的とする。
 分析に用いたデータは、明るい選挙推進協会による2000年の衆議院選挙調査と、2001年と2007年の参議院選挙調査データ、および1976年のJABISSデータ、1983年のJESデータ、1993年〜1996年のJES2データ、2003年〜2005年のJES3データであり、全部で11時点のデータである。分析結果から日本の政治不信は一過的な時代効果による政治不信の高まりだけでなく、その根底にはコウホート効果の影響が無視できない程度に大きくなってきていることが検証された。ただし、詳細に検討した結果、コウホート効果に内閣支持率が影響している可能性も見受けられた。したがって、内閣支持率の効果を除去するために、新たに時事通信によるデータを用いて、内閣支持率を除去できる新たなベイズ型コウホートモデルを開発している。
(2)「政治的無関心の分析」
 これまでの実証研究において、政治的無関心は独立変数として扱われることはあっても、従属変数として分析対象となることは希であり、主に属性から政治的有無関心の傾向を観てきた。本研究は、その間隙を少しでも埋めることを意図している。
 政治的無関心は、データの調査時点で大きく変動し、明確なトレンドを見つけ出すことは困難である。政治的無関心は理論的に「伝統的無関心」「現代的無関心」「屈折型無関心」に分類され、現代社会では「現代的無関心」「屈折型無関心」が存在する。「現代的無関心」は、日々の生活に没頭するが故に政治は為政者に任せておけばよいという意識である。「屈折型無関心」層は、政治的知識や潜在的関心は有すると考えられている。一般に政治的無関心のデータは「政治に関心がありますか」という設問であるために、これら2つの無関心の類型の趨勢を測定することは不可能に近い。「屈折型無関心」はその特徴から時代効果として析出され、「現代型無関心」はその特徴からコウホート効果として析出される可能性があり、現在その理論仮説を検討している。また、現在、(1)と同様のデータから、分析に必要な変数を収集し、加工している。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 本研究の(1)の一部は2011年度日本選挙学会(2011年5月15日、関西学院大学)で「歴史経験の重層化による政治不信の蓄積」として報告した。学会の詳細と、報告論文は以下の日本選挙学会ホームページでみることができる。

http://www.jaesnet.org/news/news62.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ありませんでした。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中村 隆

統計数理研究所