平成101998)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

10−共研−8

専門分類

5

研究課題名

逆問題とその周辺

フリガナ

代表者氏名

ワタナベ スミオ

渡辺 澄夫

ローマ字

所属機関

東京工業大学

所属部局

精密工学研究所

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

40 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

複雑な工学システムの精密計測・制御法、生体を含む非線形な自然現象の解析法、またそれらの工学医学経済学への応用法の確立が、科学・産業の両面から、ますます強く望まれるようになっている。本研究会は、上記のように相異なる多くの分野で具体的な対象を解析・構成している研究者が集い、「複雑な系における逆問題」を視点として、実際の問題に有効な手段を見い出すと同時に、その数理的構造を明らかにし、大自由度非線形系を扱う際の統計学的な基盤を作ることを目的とする。今回は前回より開始された非線形時系列データ解析に対するベンチ・マークテストを一歩前進させ、様々な手法により対象の非線形性の如何なる側面が解明されるのかについての討論会を計画している。


本研究会は自然科学・工学で現れる逆問題を統計および物理モデルの両方の観点から明らかにすることを目的として開始し第5回目である。今年度の成果は以下のようである。
(1)非線形予測におけるベイズ法が電力問題で有効であることが示された。
(2)最急降下法がロバストな推定を実現する理由が示された。
(3)学習における関数空間と評価関数の重要性が示された。雑音抑制が起こる機構が解明された。
(4)実験データから科学法則を系統的に定めるアルゴリズムが構成された。
(5)ベイズ法の漸近特性が佐藤b関数の零点であることが示された。
(6)ブートストラップ法のためのモデル選択法が確立された。
(7)キュムラントに基づくシステム同定法が構成された。
(8)潜在変数モデルによるデータの次元圧縮法が提案された。
(9)統計的推測における未解決問題が紹介された。
(10)計測のための情報論的アプローチの提案がなされた。
(11)非線形BWRモデルの安定性と減幅比が解明された。
(12)イノベーションモデルの伝達関数同定では、観測する対象によって異なるモデルが変化することが示された。
(13)リカレントニューラルネットによる原子炉異常探知法が提案された。
(14)伝送劣化信号の復元法が提案された。
(15)ウェーブレット解析とフラクタル解析の比較が検討された。
(16)またこれらの成果を元に脳波データの解析の試みを開始した。
以上を要するに、統計・物理モデル双方について進展が見られたが相互関係の解明についてはまだ余地が残されている。今後は脳波データの解析を橋渡しとして相互関係をさらに深く解明してゆく予定である。
〔研究会の場合開催期間:平成10年9月24日−26日開催場所:統計数理研究所〕


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

K.Kishida,Identification of Transfer functions in non-square feedback systems, J. Nucl.Sci.Technol.,Vol.31,pp.462-464,1998.
渡辺澄夫、ベイズ法による階層型統計モデルの推定誤差について、電子情報通信学会誌,Vol.J81-A,No.10,pp.1442-1552,1998.
上田、中野、”混合モデルのための併合分割つきEMアルゴリズム”、電子情報通信学会誌、Vol.9,1998.
S.Watanabe and K.Fukumizu,"Algorithms and Architectures," Academic Press,1998.
S.Watanabe,"Approximation Theory - Theoretical Aspects",Vanderbilt University Press,1998.
佐藤、岸田、”3重フィードバックシステムにおける統計的逆問題”、SITA98,1998.12.8.
渡辺澄夫,"代数解析に基づく特異点を持つモデルの学習理論",信学技報NC98-64,1998.11.17

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

足立 修一

宇都宮大学

石川 眞澄

九州工業大学

伊藤 只行

名古屋大学

井上 雄二郎

島根大学

伊理 正夫

中央大学

岩崎 信

東北大学

上田 修功

NTTコミュニケーション科学研究所

梅野 健

通信総合研究所

小川 英光

東京工業大学

尾崎 統

統計数理研究所

小幡 常啓

群馬工業高等専門学校

片山 徹

京都大学

兼本 茂

(株)東芝

樺島 祥介

東京工業大学

岸田 邦治

岐阜大学

北川 源四郎

統計数理研究所

北川 孟

豊橋技術科学大学

北村 正晴

東北大学

金野 秀敏

筑波大学

寒河江 雅彦

岐阜大学

鈴木 勝男

日本原子力研究所

鈴土 知明

日本原子力研究所

竹内 啓

明治学院大学

武内 豊

(株)東芝

田宮 稔士

 

田村 義保

統計数理研究所

中村 佳正

大阪大学

鍋島 邦彦

日本原子力研究所

長谷川 博

茨城大学

林 光二

日本原子力研究所

原 啓明

東北大学

福永 健次

リコー (株)

福西 宏有

(株)日立製作所

堀畑 聡

豊橋技術科学大学

松井 剛一

筑波大学

武者 利光

脳機能研究所

安川 博

愛知県立大学

山田 澄

摂南大学

鷲尾 隆

大阪大学