平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−13

専門分類

1

研究課題名

ノンパラメトリック確率密度推定量の多変量解析への応用

フリガナ

代表者氏名

アナザワ ツトム

穴澤 務

ローマ字

所属機関

小樽商科大学

所属部局

商学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医療統計や計量経済の分野では、極めて少ない標本で統計的な意志決定を迫られることがある。しかるに従来の古典的手法では、計算が途中で破綻に結果が得られなかったり、仮に得られたとしてもその信頼性が低い。我々の研究目的は現在研究中の新たな密度関数推定量が上記のような状況において有効であることを検証することにある。


本研究で我々は1つのノンパラメトリック確率密度推定量を定義し、それに基づくさまざまな母数の推定について検討している。その推定量は最大エントロピー原理によって導出されたもので、Theil and Fiebig(1984)のME推定量やKapur(1989)の密度推定量と密接な関係がある。また、定義域で連続になることから、我々はその推定量をCME(Continuous Maximum Entropy)推定量と呼んでいる。
今年度は一変量のCME推定量による分位点について検討した。我々の提案する方法は、標本順序統計量X(i)の代わりにHarrel and Davis(1982)のi/(n+1)点または(i−0.5)/n点を用いてCME密度推定量を求め、その下側p点を新たな推定量としよう、というものである。我々はその推定量とHarrel and Davis(1982)のp位推定量を比較するために、シミュレーション実験を行った。
その結果、我々の推定量はさまざまな分布(特に両側指数分布、自由度5のt分布、指数分布、対数指数分布)のp≧0.9付近でより小さなMean Square Errorを得ることがわかった。なお、Theil and Fiebig(1984)の研究結果から推測して、CME密度推定量は相関係数や分散共分散行列の(逆行列の)推定に有効と予想されているが、今年度その実証には至らなかった。それら未解決の問題は来年度の共同研究で継続して検討する予定である。
(参考文献)
・Harrel and Davis(1982). A new distribution-free quantile estimator, Biometrika, vol.69, 635-40.
・Kapur(1989). Maximum-Entropy Models in Science and Engineering, John Wiley & Sons.
・Theil and Fiebig(1984). Exploiting Continuity, Ballinger Publishing Company.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Anazawa, T. and Jimbo, M, "Quantile estimation based on a continuous maximum entropy density estimator"(submitted to AISM).

・穴澤 務「Continuous Maximum Entropy 密度推定量について」、統数研金曜セミナー、平成4年6月19日。
・穴澤 務「Continuous Maximum Entropy (CME)密度推定量によるパーセント点推定について」、統数研金曜セミナー、平成4年11月13日。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

我々が研究中の推定量は、特に分散共分散行列の推定において有効ではないかと予想されているが、それを検証するために、まずそれを2変量確率密度推定量へ拡張する。次に、その推定量の有効性を確かめるために、コンピュータによるシミュレーションを行う。最後に得られた成果をグラフィック機能の豊富な統計解析言語(例えばSASやS)にインプリメントする。
これらの計画を実施するためには、豊かなコンピュータ利用環境が必要となるが、幸い貴研究所にはさまざまなハードウェア・ソフトウェアがあり研究環境として申し分ない。加えて平成4年度は研究代表者(穴澤)が貴研究所にて内心研修を行う予定があり、共同研究が適当と考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

神保 雅一

岐阜大学