平成202008)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

20−共研−5

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

Bayesian model selectionの理論と応用

フリガナ

代表者氏名

マルヤマ ユウゾウ

丸山 祐造

ローマ字

Yuzo Maruyama

所属機関

東京大学

所属部局

空間情報科学研究センター

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果の概要

正規線形回帰モデルにおける回帰係数の推定問題を統計的決定理論の枠組みで研究した.具体的には,Maruyama and Strawderman (2005, Annals of Statistics)の結果を拡張し,新たなminimaxベイズ推定量のクラスを提案した.以下では,それを具体的に述べる.Maruyama and Strawderman (2005)では,ベイズ型の縮小推定量の縮小ファクタとして単調増加関数のみを扱った.これは,minimax性を簡単にチェックするためには都合が良いが,単調増加性はminimax性の必要条件ではない.私は,Strawderman教授と共同で,まずminimax性の十分条件の再検討し,単調性を持たなくてもチェックが容易な十分条件を導出した.また縮小ベイズ推定量で縮小ファクタが必ずしも単調増加でない推定量の特徴づけを行った.その後,縮小ファクタを超幾何関数を通じて表現することにより,途中で増加から減少に転じる関数を縮小ファクタとする推定量の中に,minimax性を満たす推定量のクラスが存在することを示した.さらに,Maruyama and Strawderman (2005)と同様に,minimax性を持つベイズ推定量のクラスに,正規性を仮定しなくても,ベイズ性,minimax性を同時に保つ集合が存在することも示した.これらの結果は,本科研費を使い,平成20年9月,及び平成21年3月の二度,アメリカRutgers大学のStrawderman教授を訪問して議論することにより得られた.結果をまとめた論文は,Journal of Multivariate Analysisに条件付きでアクセプトされている.
一方で,このminimax性を持つ推定量について,許容性も保持するかどうかの研究は進んでいない.今後の課題としたい.