平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−22

専門分類

2

研究課題名

フレドホルム型確率積分方程式の数値解析

フリガナ

代表者氏名

オガワ シゲヨシ

小川 重義

ローマ字

所属機関

金沢大学

所属部局

工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

例えば、多次元パラメーターの白色雑音を外乱として含む、楕円型方程式の境界値問題は多次元パラメーターブラウン運動に関する、フレドホルム型確率積分方程式として定式化される。このように本来的に非因果的積分により構築される、確率場のシミュレーションはそれ自身の興味ばかりでなく、統計上の問題とも関わりを持つ。このような積分方程式の数値解法を確立し、ついで、解の統計的性質を調べることが目的である。


工学、或いは統計学に於けるある種の問題は形式的には「多次元パラメーターの白色雑音を外乱として含む楕円型方程式の境界値問題」として表現される。
これらの問題の数学的に厳密な扱いは、小川が20年前に導入した非因果的確率解析によって可能となった。本共同研究計画の目的は非因果的積分方程式の数値解法に関する基礎的問題の整理と解析である。
1)多次元パラメーターの確率場のフレドホルム型確率積分方程式については、まずもとになる楕円型確率偏微分方程式の境界値問題との対応を確認し、これによって確率積分方程式の解の意味を明らかにした。
2)解の存在や一意性、連続性等の定性的結果は既に小川により早い時期(1989年)に得られているが、そうした解(確率場)の統計的性格の決定や数値近似を如何にして構成するかを議論した。
一つの方法として、解を適当に選んだ正規直交系が張る有限次元空間に射影したものを構成することが考えられるが、その収束速度が如何なるものになるかの決定が未解決である。他に、ランダム積分方程式の数値近似解を利用する方法があるが、これについては現在解析中である。
なお成果の一部は、小川が今春(98年4月)台湾の中央科学院数学研究所に招かれた折り、同所の研究会にて発表した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Ogawa,S. with Kohatsu-Higa,A.,"On the rate of weak convergence of an Euler scheme for nonlinear SDEs", Monte Carlo Methods and Applications, vol.4,No.3,1997
小川重義 et al、数理科学講究録1032号「確率数値解析に於ける諸問題、3」、京都大学数理解析研究所、1998年
a) Ogawa,S.,"Un revue pre-historique des equations integrales stochastiques de Fredholm", First Conference on Stochastiqc Calculus and Analysis held at Univ de Cady Ayyad in Marrakeche, in June 1997
b) Ogawa,S.,"Some recent problems in numerical analysis of nonlinear SDEs",Workshop on Kinetic Equations held at WIAAS of Humboldt Univ., in Sept.1997

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

3ヶ月に一度、それぞれ5日間統計数理研究所に滞在し、田辺教授との共同研究を実行する。即ち、1)5月には、具体的な課題の設定を討議し、2)8、11月の滞在中に相互の研究結果を討議する。3)1月の滞在は予備であり、このときに研究結果の報告書をまとめたいと考えている。従って、研究期間中に研究所へは都合4回訪問し、延べ滞在日数は(移動日も込めて)20日間となる。以下の所用経費はこれを基準に算定してある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田辺 國士

統計数理研究所