平成202008)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

20−共研−1009

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

8

研究課題名

地球環境のリモートセンシングと統計的方法

フリガナ

代表者氏名

カシワギ ノブヒサ

柏木 宣久

ローマ字

Kashiwagi,Nobuhisa

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 環境を地球規模で観測するにはリモートセンシングの技術が不可欠である。ただし、リモートセンシングにより観測できるのは環境測定値そのものではなく関連する電磁波であり、その電磁波も減衰・散乱等の影響を重畳して受けている。減衰・散乱等の影響を排除し電磁波の真値を推定するためには逆問題を解かなければならない。そしてまた、電磁波から環境測定値を推定するためには、電磁波と環境測定値の関係を記述したモデルを同定しなければならない。本研究では、リモートセンシングに現れるこれらの問題を解決するための統計的方法について検討している。
本年度は特に全球降雨観測計画について検討した。この計画で打ち上げ予定の衛星には共同研究者等が開発する降雨レーダーが搭載される。降雨レーダーによりマイクロ波の降雨反射強度が観測され、その反射強度に基づき降雨強度が推定される。ただし、マイクロ波は雨中を通過する際に減衰するため、真の反射強度を推定するには減衰補正が必要である。減衰補正は逆問題であり、これを合理的に解決するためのベイズ的方法について検討した。また、反射強度に基づき降雨強度を推定するには雨滴粒径確率分布を同定する必要がある。この同定では1つの観測値から少なくとも2つのパラメータを推定しなければならず、基本的には識別不能である。この識別問題を合理的に解決するためのベイズ的方法についても検討した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

●林岳彦, 柏木宣久 (2009). 時間的・空間的な変動性Vおよび推定の不確実性Uを解析する: 階層ベイズモデルによる不検出値を含む環境中濃度データの解析, 日本リスク研究学会誌, 19, 47-54.
●Kozu, T., Iguchi, T., Shimomai, T. and Kashiwagi, N. (to appear). Raindrop size distribution modeling from a statistical rain parameter relation and its application to the TRMM precipitation radar rain retrieval algorithm, Journal of Applied Meteorology and Climatology.
●Hayashi, T. and Kashiwagi, N. (to appear). A Bayesian method for deriving species-sensitivity distributions: Selecting the best-fit tolerance distributions of taxonomic groups, International Journal of Human and Ecological Risk Assessment.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

井口 俊夫

情報通信研究機構

沖 理子

宇宙航空研究開発機構

古津 年章

島根大学

清水 邦夫

慶應義塾大学

福地 一

首都大学東京