平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−82

専門分類

7

研究課題名

人体の各領域における皮膚(表皮と真皮境界面)の法則性の検討

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

医学部

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

人体をくまなく覆う皮膚(表皮)の表面は比較的平坦であるが、その裏面(すなわち表皮が真皮と接する面)には著名な凹凸構造があり、その凹凸はフラクタル構造をなす(Honda et al., Fractals 4:139-47,1996)。生体内の境界面を観察する方法が開発されたので体の領域ごとの凹凸を実測し、予想される法則との尤度を検定する。


頭には髪があり手足には毛がなく皮膚が厚いなど、ヒト皮膚は部位により多彩に変化する。皮膚表面の細かい溝(皮溝)も部位により異なり、ほぼ平行な溝が走る手足の指紋から、三・四・六角形までの多彩な幾何学模様を呈する四肢まで多彩である。
しかし毛髪の意義や皮膚の厚さの意義がおよそ解明されているのに対して、皮溝の形成機序と生物学的意義は不明である。そこで皮溝の形成過程を部位ごとに実測し、予想される法則との尤度を検定した。
九州大学附属病院にて誕生した乳児を対象に、誕生直後からの皮膚表面を定点を決めて計測し、成長に伴う変化を記録した。得られたデータを検討した結果、皮膚(指紋を含む)は体表のヒビワレに類似した構造であることが判明した。
そこでこの構造の法則性を解析して、人体の各領域ごとの表面に負荷される外力量と、頭・顔・頚・躯幹・四肢・手・足などの実測値との比較から、皮溝形成の法則を発見または予測する研究を実施中である。
本研究の結果、ヒトの形態形成における皮膚の役割、さらにはヒトを含めた生命体の形の形成に果たしている外皮の生物学的意義が明らかになると思われる。
[研究会の場合 開催期間:2日間 開催場所:統計数理研究所]


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Imayama S,Honda H,Tanemura M: Can cosmetics modify skin architecture?,
Newsletter,Procter and Gamble,pp 3-6,1998.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

測定は九州大学医学部において今山修平が実施する。皮膚に照射されたレーザーは表皮と結合組織との界面で一部が反射されて干渉を生じる。そうして得られたデータは兵庫大学の本多久夫が解析し、境界面の凹凸状態の実測値を得る。この構造の法則性の検討を統計数理研究所の種村正美が担当する。人体の各領域ごとに負荷される外力量と、頭・顔・頸・躯幹・四肢・手・足などの実測値との比較から法則を発見または予測する。本研究の結果、皮膚の様々の領域から発生する皮膚癌の増殖のパターン、皮膚移植手術の時の移植可能部位の予測、また医学以外では、ヒトが用いるべき理想的な衣類の開発など、これまで予想できなかった領域への応用が可能になると思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所

本多 久夫

兵庫大学