平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−27

専門分類

3

研究課題名

時系列モデルによる主要経済変量関の相互依存関係の研究

フリガナ

代表者氏名

ハヤシダ ミノル

林田 実

ローマ字

所属機関

北九州大学

所属部局

経済学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、経済学の分野では合理的期待形成学派などによるケインズ経済学批判が注目を浴びつつある。その論点は多岐にわたるが、なかでも財政政策、金融政策の無効性を主張したことは特筆に値する。本研究は時系列モデルを用いて主要経済変量の相互依存関係をあきらかにし、経済政策の有効性の問題に迫ろうとするものである。


近年、経済学の分野では合理的期待形成学派などによるケインズ経済学批判が注目を浴びつつある。その論点は多岐にわたるが、なかでも財政政策、金融政策の無効性を主張したことは特筆に値する。日本経済は現在バブル崩壊後の長期的な不況にあえいでいるが、そこで行われているケインズ政策は現在のところ有効な解決策とはなりえていない。
他方、経済発展論の分野では「金融深度」と経済成長の因果関係をめぐって議論が盛んである。金融深度が増すと経済成長につながると主張する立場からは経済成長のための金融自由化論が、金融深度と経済成長との因果関係を認めない立場からは金融自由化による金融システムの不安定化への危惧がそれぞれ主張されている。
このような問題意識の下で、日本経済について、実質国内総支出、金融深度指標(名目マネタリーサーベイ国内信用計/名目国内総支出)、輸出、政府の消費・投資、直接投資、物価水準、マネーサプライ、利子率などの相互連関をTIMSACにより調べた。その結果、金融深度指標の取り方によって結論がかなり変化すること、また季節調整の方法によっても結果が異なることが確認された。
さらに、多変量時系列モデルを経済に適用するさいの自由度不足も深刻な問題である。今後は、季節調整を自動化したモデルによる検討や異なる金融深度指標を採用した場合の結果の解釈などを慎重に進め、より頑健な結論を模索する必要がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Moshiur Rahman,Ardock,研究会、1999年3月5日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

景気変動に対処するため政府が財政政策・金融政策をつうじて経済過程に介入するという構図は、経済をシステムとしてみたとき、典型的なフィードバックシステムの一例と考えることができる。統計数理研究所ではこのようなフィードバックシステムを多変量時系列モデルによって解析し、変量間の相互依存関係を明らかにする方法が確立されている(TIMSAC)。この方法によればスペクトルの観点から実質成長率、マネーサプライ、利子率、政府固定資本形成、物価水準などの経済の主要変量間の相互依存関係を明らかにすることができる。具体的には、日米欧の様々な時代区分における経済変量にたいしてTIMSACによる分析をおこない、経済政策の有効性の問題に答えていきたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

Md. Moshiur Rahman

総合研究大学院大学