平成292017)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

29−共研−2006

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

長期野外データと遺伝データからの個体群モデリング

フリガナ

代表者氏名

コイズミ イツロウ

小泉 逸郎

ローマ字

Koizumi Itsuro

所属機関

北海道大学

所属部局

地球環境科学研究院

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

44千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

野生生物の個体数の変動機構を解明することは生態学の古典的かつ中心的課題である。これまでの個体群動態論では、ひとつ、あるいは少数の調査地点において、個体群の密度調節機構が精力的に研究されてきた。しかし、ほとんどの生物は生息地間を個体が移動しており、これが個体群動態に大きな影響を与えていることが示されている。したがって、野外個体群において個体数の変動機構を真に理解するためには、複数の生息地とそれらの移住を調べるメタ個体群のアプローチが必要となる。

申請者は大学院時代から約20年間にわたり、北海道空知川のオショロコマ(河川性サケ科魚類)において多数の地点で個体数データを収集し、長期にわたる時空間変動を反映したデータを蓄積してきた。しかしながら、これらのデータは断片的なものであり、研究当初から継続的にデータが蓄積されている地点はそれほど多くない。

そこで本研究では、生態学において貴重な長期データを有効に活かすために、欠損値のある長期観測データの個体群モデリングを行う。さらに遺伝データを組み入れることで野外では観測が難しい長距離移動の推定も可能になる。現場で自らデータを取得してきた申請者と統計学の専門家が協同することにより、現実に即したモデリングが期待できる。さらに、理論的にも発展途上にある空間解析においても研究のフレームワークの構築を目指す。

平成29年度は、共同研究者である統数研の島谷博士が北海道大学に3度訪問して議論をおこなった。欠損値の多い長期データの取り扱い、および個体数変動などの生態データと遺伝データの統合の方法論について議論を交わした。データ量は多いが、欠損値も多いので解決方法を見つけるのに少し時間がかかっている。

また、北海道医療大学札幌サテライトキャンパスで行われた第11回生物学基礎論研究会に招待され、本研究内容について特別講演を行った。共同研究者の島谷博士も同研究会で一般講演を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

小泉逸郎.野外個体群において進化のプロセスを調べる.第11回生物学基礎論研究会.2017年9月10-11日.北海道医療大学 札幌サテライトキャンパス.招待講演.

研究会HP:https://sites.google.com/site/colloqfoundbio/conference/conference-10/conference-11


小泉研究室HP:https://noah.ees.hokudai.ac.jp/envmi/koizumilab/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所