平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−7

専門分類

1

研究課題名

重回帰分析における知識表現の研究

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計計算開発センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

数理統計学における数学モデルに関する知識には,数式上の処理に関する知識と,手法を適用するにあたって必要なある程度経験的な知識とがある。知的統計解析パッケージはこれらを統合して扱う必要があるが,本研究はそのような重回帰分析支援用のシステムを試作することを目的とする。


本研究の目的は、知的統計パッケージの一つの例として重回帰分析支援用のシステムを試作することである。昨年度までの研究である程度知的なシステムが完成していた。すなわち、統計知識表現にオブジェクト指向パラダイムを利用し、推論部のプログラムはProlog言語で、統計計算部はC言語で書かれ、グラフィック表示にはXウインドウを用いたシステムがSunおよびApolloワークステーション上で稼働していた。しかし、このシステムはなんとか動いているという状態のものであり、多くの”虫”がひそんでいた。さらに、われわれにとっても、不満足な点が多かった。
そこで、本年度はつぎのような点の改良を行った。まず、数値計算および推論プログラムにおける多くの誤り(”虫”)を訂正した。その結果、システムの信頼性が非常に高くなった。また、ヘルプの機能を強化し、ほとんどすべてのオブジェクトに対して、その使い方や保持している情報の種類を表示させるようにした。さらに、いくつかの例題を解析してみて、これまでの知識を調節した。ただし、検定の有意水準の変更などの細かい調節であり、知識の大枠はそのままにしておいた。
ところで、現在のシステムでは、新しい統計手法や推論のための知識を付加するには、Prologでそれらを書かねばならない。これまではプロトタイプということでそのようにして変更を加えてきたが、システム作成者以外にはそれは面倒な仕事である。そこでそれらの変更を容易にする組む込みの言語が必要である。本年度は主として統計手法をオブジェクトのメソッドとして組み込むための言語の設計と試作を行ってみた。それにより、例えば、回帰診断の統計量などが簡単に組み込めるようになった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

中野・山本・岡田,知識ベース重回帰分析支援システム,応用統計学,20巻1号, 1991年

小林・山本・中野,重回帰分析支援システムRASSのプログラミング機能について,JSQC第38回研究発表会,1991年5月25日
Nakano & Yamamoto, Representing Statistical Knowledge for Multiple Regression Analysis. 3rd PASC,1991.12.11

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

過去2年度の共同研究により,重回帰分析支援システムの第1版が完成した。すなわち,統計知識表現にオブジェクト指向パラダイムを利用し,推論部のプログラムはProlog言語で,統計計算部はC言語で作成し,ユーザーインターフェースにはXウインドウを用いたシステムがSunワークステーションおよびApolloワークステーションでいくつかの実例をある程度知的に処理できている。本年度は現在の粗雑な対話環境を整備してより使い易いシステムにすることを目的とする。共同研究参加者は異なった計算機を利用しているので,それらをまとめるために統計数理研究所の優れた計算機環境が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

刈谷 丈治

山口大学

小林 郁典

徳島文理大学

田村 義保

統計数理研究所

西尾 敦

明治学院大学

山本 由和

徳島文理大学

渡辺 則生

中央大学