平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−72

専門分類

7

研究課題名

新生児生体情報制御システムに関する研究

フリガナ

代表者氏名

オガワ テルユキ

小川 昭之

ローマ字

所属機関

重症心身障害児施設「恵の聖母の家」

所属部局

職  名

園長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

我々は、これまで、出生直後より時々刻々と変化する新生児の脳波、呼吸、心拍、血圧などの生体情報時系列に多次元自己回帰モデルを応用して、パラメータ間の制御システムを開発し、その臨床生理学的意義を明らかにしてきた。本年度は、そのシステムを用いて、生直後からの新生児脳波活動が自律神経変動によってどの様に変化するかを知る。


目的: これまで、出生直後より時々刻々と変化する新生児生体情報(脳波、呼吸、心拍、血圧、筋電図など)時系列にARMAモデル(自己回帰移動平均モデル)を応用して、各パラメータ間の制御システムを知ることを目的として、研究を継続しているが、平均7年度では脳波、呼吸、General Movement(GM)の24時間のAICの変動特性を明らかにせんとした。
結果:(1)脳波のパワーと5分間のAICの移動平均を用いた所、静睡眠期(QS)にはパワーとAICはいずれも減少し、受胎後週数に伴い規則的な変動がみられた。受胎後29,32,34,35,37週において、24時間以内におけるQSは16,14,13,10,8回と発達に伴い低下した。(2)呼吸波形は[AIC(0)−AIC(M)]/N×NA,(M=次数,N=1区間内のデータ数,NA=24時間内のNの平均を示す)をnormalized(N-)AICとすると、受胎後週数に伴い周期的変動がみとめられ、QSを明確に示すことができた。(3)GMでもN-AICを用いると、簡便かつ高い精度でGMを検出することができた。17分間のポリグラフ記録において未熟児のGM時にはN-AICは常に−1000以下となり、GM以外のときには−1000以下になることは稀であった。このことから未熟児の24時間における自発運動(特にGM)の定量評価が可能となった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

M.Wada,T.Ogawa,H.Sonoda,K.Sato,“Development of relative power contribution ratio of the EEG in normal children: a multivariate autoregressive modeling approach”Electroenceph.Clin.Neurophysiol.,in print
小川昭之、“時系列解析の実際2”、赤池弘次、北川源四郎 編、1995年9月10日
小川昭之、“新生児における24時間生体情報の自動解析と臨床応用”、第19回秋田県小児神経・発達研究会特別講演、1995年9月9日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

当科新生児重症治療室(NICU)において治療中の児より、各種モニター装置や生体アンプを通して得られた脳波、呼吸、心拍、血圧、筋電図などを、24時間以上連続してリアルタイムでミニコンピュータにAD変換して取り込み、得られた離散時系列に随時自己回帰・要素波解析を施す。その結果を時々刻々と表示するとともに、必要に応じて統計数理研究所の大型電子計算機も利用しつつ、現在当科外来follow中で健常な発達を遂げている正常対象群の過去の入院中のデータと定量比較を行い、その発達の評価とともに脳障害の病態を解明する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

佐藤 圭右

大分医科大学

園田 浩富

大分医科大学

高野 智幸

大分医科大学大学院