平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2011

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

磁力線振動周波数とGPS-TECの同時インバージョンによるプラズマ圏密度全球分布推定

フリガナ

代表者氏名

カワノ ヒデアキ

河野 英昭

ローマ字

Kawano Hideaki

所属機関

九州大学大学院

所属部局

理学研究院・地球惑星科学部門

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

40千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球のまわり、電離層の外側には、プラズマ圏と呼ばれる領域が広がっている。この領域は、地球磁力線に沿って電離層から流れ出したプラズマによって満たされている。このプラズマ圏のダイナミックな変動の様子を調べる事は磁気圏物理の重要なトピックであり、その為に、プラズマ圏プラズマの密度の3次元分布を知る事は重要である。

その密度分布を知る為の方法の一つに、GPS-TEC (下に説明) のデータを使用する方法がある。GPS (Global Positioning System) 衛星は、現在全30機同時運用されており、地球に向けて電波を送っている。それを地上の観測点や低高度衛星で受信すると、衛星〜観測点を結ぶ線上でのプラズマ電子密度の積分量: TEC (Total Electron Content) を求められる。

一方、別の方法として、地上での磁場観測データを使う方法もある。すなわち、地球磁力線が振動すると、それを地上磁力計で観測する事ができ、その振動の周波数(磁力線振動周波数、以下 f とする)が得られる。そして、その f は、磁力線の「重さ」、すなわち「磁力線に沿ってプラズマ質量密度を積分した値」(この量を以下 M とする) と逆相関の関係にあるので、磁力計で観測した f から M が推定できる。

以上の2種のデータが与えるのは、求めたい3次元プラズマ密度分布に対して、異なる方向に沿っての積分値である。すなわち、GPS-TEC データでは衛星と受信機を結ぶ直線上の積分値、地上磁場観測データでは地球磁力線沿いの積分値である。本研究の目的は、f のデータセットと GPS-TEC データセットを組み合わせて、両データの特性を生かしたトモグラフィー的手法によってプラズマ圏プラズマ密度3次元分布を推定する事である。

平成23年度は、上記推定の為の方法論(これまでの共同研究にて開発)の妥当性の確認の為、その双子実験的手法によるテストを行った。まずは最も簡単なケースとして「プラズマ圏中の一点のみ密度が未知である」と想定して、その一点の密度値を任意に規定し、その値を上記方法で正確に求められるかテストした。その結果は成功であった。そしてその後、「密度未知の点が一点」では少なすぎるので、「密度未知の点」を順次増やしてのテストを開始した(進行中)。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

河野英昭、才田聡子、上野玄太、樋口知之、中野慎也、湯元清文、地上磁場とGPS TECの同時観測データを用いるプラズマ圏密度分布推定手法、日本地球惑星科学連合2011年大会、幕張メッセ国際会議場、2011年5月22〜27日。
河野英昭、才田聡子、上野玄太、樋口知之、中野慎也、湯元清文、地上磁場FLR観測とTEC観測を統合したプラズマ圏3次元密度分布推定法、2011年度 中間圏・熱圏・電離圏(MTI)研究会、九州大学箱崎キャンパス、2011年8月29〜31日。(招待講演)
河野英昭、才田聡子、上野玄太、樋口知之、中野慎也、湯元清文、FLR地上磁場観測とTEC観測からのプラズマ圏3次元密度分布推定法、地球電磁気・地球惑星圏学会 第130回総会・講演会、神戸大学六甲台第2キャンパス、2011年11月3〜6日。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(開催しなかった。)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

才田 聡子

情報・システム 研究機構

中野 慎也

統計数理研究所

樋口 知之

統計数理研究所